27年から量産開始
1日、ラピダス(本社・東京)の次世代半導体工場IIM―1の起工式が千歳市で開かれた。最先端の半導体を北海道から世界に届ける拠点整備が本格化する。人口減少や経済の低迷という課題を抱える本道の活性化に向けた期待は大きく、ラピダス効果をどう生かすか、行政や企業の手腕が試される。2025年の試作ライン稼働、27年の量産開始へ現場が稼働する。
神事終了後にANAクラウンプラザホテル千歳で開かれた記者会見には、ラピダスの東哲郎会長と小池淳義社長をはじめ、鈴木直道知事、千歳市の横田隆一市長が登壇。起工式を終えた喜びと併せ、次世代半導体の開発・量産化への決意を新たにした。会見終了後には工場の完成をイメージしたジオラマを披露し、最先端の工場が生むまちづくりへの連携を確認した。
東会長は「デジタル社会が異例のスピードで全世界、全産業を変える時代に突入する。千歳市でわれわれが展開する最先端デバイスは必要な技術。ここでやることが楽しみで、道が世界に貢献する地域として注目されることが誇り」と意気込みを述べた。
工場の将来については「この工場は技術面だけでなく、自然環境との調和、地球環境に優しい工場、新しいタイプのまちづくりを目指している。われわれを引き継ぐ若い世代の方々、夢を持って明るく活躍できる場を形成したい」と語った。
小池社長は、最先端半導体の顧客に3分野を想定していると説明。データセンターに使われるCPUやGPU、AIを搭載したクラウドコンピューティング、そしてエッジコンピューターを挙げた。低消費電力が利点と強調した上で「そういったお客さまが非常に興味を持っていて話を進めている」と明らかにした。
鈴木知事は「このチャンスを生かし、研究と人材育成を一体化した複合拠点の実現に取り組む。データセンターパークの推進、地域産業のデジタル化、新技術の社会実装などを通じて、デジタルの好循環を生み出したい」との考えを主張した。
横田市長は「急ピッチで工事が進められるが、受け入れ環境の向上へ、立地、建設、操業に向けたインフラ整備、住環境整備、それに伴う諸調整と、やるべきことがたくさんある。一段とギアを上げて、まちの総力を挙げて取り組む」と、地元の強い決意を示した。