2014年の道内建築確認件数は前年比13.6%、2764件減の1万7621件となった。特定・限定行政庁、総合局・振興局のいずれも前年の8割程度にとどまった。過去10年で見ると、リーマンショック以降、09年に1万6800戸に落ち込んだ後は徐々に回復していたが、消費増税後の反動減や建設費の高騰により2万戸を超えた13年の勢いを維持できずマイナスに転じた。15年は性能の高い住宅の新築・リフォームを対象とする省エネ住宅ポイント制度や、フラット35Sの金利引き下げ幅の拡大といった支援策もあり、木造戸建てが中心の4号が回復する可能性もある。
道建設部建築指導課がまとめた建築確認済み件数を基に集計した。14年の内訳は、4号が16.2%、2544戸減の1万3184件、それ以外の1―3号が4.7%、220件減の4437件。
1月に1―3号で前年同月比6.7%、4号で13.1%のプラスを示して以降、マイナス傾向が続いたが、12月に4号が3.9%増、907戸でけん引し、全体でも11カ月ぶりのプラスとなった。
受付機関ごとに年間の動向を見ると、特定行政庁で札幌が1、2月にプラスを示した以降は、12月に4.6%減となり、10カ月連続で下回った。江別は2月に33.3%、6月に31%増え、12月に2倍となるなど健闘したものの、年間では前年比12.9%減。旭川は前年を上回る月がなかった。
4号のみ受け付ける限定行政庁は、恵庭や下半期(7―12月)から好調に転じた石狩など7市町がプラス。総合局・振興局は12月に6地域が増加し、年間の減少幅を8.6%に抑えた。
大手ハウスメーカーで構成する住宅生産団体連合会が実施した住宅景況感調査によると、15年第1四半期(1―3月)は「戸建て住宅の回復、賃貸住宅の堅調により好調で推移する」「市場環境は大きく変わらないが、経済対策の認知が進むにつれて緩やかに回復傾向となる」と、住宅取得支援策の効果に期待する見方が多い。
一方、札幌を中心に不動産市場を分析している、インフォメーションシステムキャビンの志田真郷社長は、アベノミクス効果が道内まで浸透せず、消費者に今以上の価格低下を待つデフレマインドが定着していると指摘。「建設費の高騰分を転嫁しても売れないため、土地を狭小化するなどして売り手側が価格を抑えていることもデフレマインドをあおっている。需要はエコポイント終了前に駆け込みで生じる可能性があり、早い段階から支援策の効果は表れないのでは」と予測している。