北海道建設業協会は、北海道開発局と道建設部が管理する道路や橋梁、河川など公共施設の維持管理を担う会員企業に対し、収益性に関するアンケート調査をした。開発局の橋梁と道建設部の橋梁、海岸、河川の維持管理は7割以上の企業が「収益性は低い」と回答。両機関とも収益性を損なう要因は「積算上の単価・歩掛かりが低い」が最も多かった。人材確保がままならない中、維持管理をめぐる厳しい受注環境が浮き彫りとなった。
社会資本整備の適切な維持管理が地域建設業者の重要な役割になるとし、土木委員会(川島崇則委員長)が2014年10―11月にアンケート調査をした。
回答を見ると、会員596社中、開発局と道が発注する除排雪や道路維持など構造物の管理を担っているのは22.1%に当たる132社だった。企業の年間売上高のうち維持管理が占める割合は、20%未満が76%と最も多く、次いで20―50%未満が21%、50%以上は3%にすぎなかった。
開発局の維持管理は82社が受注した。内訳(複数受注含む)は、道路が77社と最多で、橋梁と河川が各8社、公共施設(防災施設)が2社。
収益性を問うと、防災施設は100%、橋梁は75%の企業が「低い」と回答。道路は「標準的」が57%だが、「低い」が40%の割合を占める。河川は50%が「標準的」とし、37%が「低い」とする一方、「高い」が13%ある。
収益が低い理由としては「積算上の単価・歩掛かりが低い」をはじめ、「仕様の設定があいまいで業務内容を想定しにくい」「発注規模が小さい」「工期が長い」の順となっている。
意見や要望では「オペレーターや作業員の高齢化が急速に進み、人材確保が困難」と、年間を通した作業量の確保や規模の大型化を望んでいる。適正な利益の確保に向けては「経費率の引き上げ」「単価が安価。歩掛かりの見直し」「小規模な維持管理の実費精算」「官貸機の老朽化で修理の負担増」などを挙げている。
一方、道からの受注は90社。内訳は、道路の80社が最も多く、河川49社、海岸18社、橋梁13社、公園3社、空港と公共施設(学校など)が各2社と続く。
収益性は橋梁の85%と海岸の83%、河川の73%が「低い」と答えた。さらに公園、橋梁、空港、学校なども半数以上が「低い」と厳しい実態だ。空港と学校などの50%は「標準的」と回答したものの、全工種を通じて「高い」は1社もなかった。
収益性が低い理由や意見は、開発局とほぼ同じ内容。道への要望で特徴的なのは「書類の簡素化」「官貸機の安価な提供」「深夜、土日祝日作業の割増単価での精算」などがあった。