道企業局は、耐用年数を大幅に超過して老朽化が著しい水力発電所の大規模改修などで2015―35年度に要する費用として、約260億円を見込んでいる。27日に札幌市内のかでる2・7で開いた「道営電気事業のあり方検討委員会」の第5回会合に示した。
15年度から、最も遅い清水沢発電所の固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り期間終了を予定する、39年度までの道営電気事業収支見通しを提示。費用算出の試算として、計画がある35年度までの大規模改修など費用見込み額を示した。
大規模改修は5つの水力発電所で計画。13年度に着工した滝の上は16年度まで工事を進める。清水沢は14年度から16年度まで調査設計をし、17―19年度で施工。岩尾内は17―20年度に調査設計、21―23年度に工事、鷹泊は24―27年度に調査設計、28―31年度に工事、川端は28―31年度に調査設計、32―35年度に工事をそれぞれ実施する。
ポンテシオ、滝下の両発電所は水車発電機など一部の機器で耐用年数を超過することから、機器更新などを施す。ポンテシオは19―20年度に機器改修、21―22年度に調査設計、23―24年度に水車発電機の分解・点検、滝下は18―19年度に調査設計、21―22年度に工事を計画している。
また、発電中央制御システムの更新時期を迎えることから新たなシステムを構築する。これらと、実績から算出した維持修繕の年平均額を合わせ、35年度までの見込み額を約260億円とした。
収支見通しは3つのシナリオを設定し、純利益を最少で249億円、最大で411億円と試算。道企業局の担当者は、いずれのシナリオでも15年度から運転を始めるシューパロ発電所のFIT収入の影響が大きく、シューパロ発電所の買い取り期間が終了する34年度までは収入が費用を大きく上回り、安定的な事業運営が可能と説明した。
また、建設改良費の財源にもなる内部留保資金は、20年度以降に企業債償還額の減少や利益の累積などにより増加する見込みだとし、今後も安定的に建設改良事業を進められるとした。
学識経験者や民間委員は道営電気事業の安定性を評価。一方で、道営事業の継続と民間譲渡の二者択一ではなく、リースや民間委託など第3の選択肢を検討する必要があるとも指摘した。