地崎道路北海道支店は、油汚染土を浄化して再資源化する油汚染浄化センターを苫小牧市に開業した。国内初の取り組みで、油汚染土が廃棄物処理法の適用対象となったため、必要な許認可を取得して油汚染浄化事業に対応。バイオレメディエーションによる汚染土の中間処理能力は1日当たり0・6m³(産業廃棄物)で、浄化業務に加え、事前の相談や調査までを行う総合的なコンサルティング事業も展開する。
同支店は2005年から油汚染浄化事業に取り組み、工場やマンション、ガソリンスタンドなどで100件を超える実績を重ねてきた。林隆治環境営業部長は今回の取り組みについて「2014年4月1日以降は油汚染した土砂を発生した場所からほかに移す際、土砂と廃油の混合物が廃棄法(廃棄物の処理および清掃に関する法律)の適用を受けるとの通知を道環境生活部から受けたため、それに対応した」と説明する。
適用後、含有油分の引火点が70度以上のものを特別管理廃棄物、70度未満が産業廃棄物とに分類され、それぞれの収集運搬には、産業廃棄物処分の許可施設へ排出委託しなければならなくなった。そこで同社は各許可を5月29日付で取得。苫小牧市美沢157に油汚染浄化センターを開業した。
同センターの受け入れ土壌は軽油、重油、廃油、ガソリンによる汚染土。バイオレメディエーションによる汚染土の中間処理は、産業廃棄物で1日当たり0・6m³(年間221m³)、特別管理産業廃棄物で同1・3m³(年間474m³)の能力を有する。有害物質が含まれている土は受け入れない。
同社のバイオレメディエーションはもともと米国から輸入した技術で、土壌に生息するバクテリアを培養した上で、バクテリアが持つ油分解能力を使って浄化し、再資源化する。
11年5月に「微生物によるバイオレメディエーション利用指針に基づく確認」で経済産業大臣と環境大臣の認可を取得。原位置だけでなく、センターに持ち込んで処理できるため、作業に制約がある敷地の汚染土にも対処できる。
地下水位が高く、水中に拡散する恐れがある現場や、汚染土を掘削排出できない敷地では、地中にパイプを打ち込んでバイオ製剤を注入するバイオインジェクト工法も提案。地下汚染水の場合は注入・くみ上げで循環させ、いずれも土地の形質を変えずに浄化できる。
また同社は、土木会社としての施工ノウハウも生かし、浄化作業だけでなく敷地内の樹木移植にも応じるなど、きめ細かなサービスを展開している。
このほか、油漏出事故の初期対応用にオイルリークキットを販売。同キットは吸着材として使うオイルスポンジ、使用済み吸着材の回収袋、汚染路面の洗浄に用いる油取りクリーナー、クリーナー用噴霧器などで構成。別売りで、連結するとオイルフェンスとしても利用できる、雨水集水桝の流末に浮揚して油を吸着するブームも販売している。