道は、道産材を使用したCLT(直交集成板)の普及拡大に向け、カラマツに続きトドマツでも導入に向けた強度試験を進める。道内でカラマツを使ったCLTによる施設はあるが、トドマツでの事例はない。実用化のための耐久性などを照査するとともに、試験で得た検証結果を国に提出し、CLTの建築基準整備に盛り込む方針だ。
3日の第2回定例道議会予算特別委員会で、藤川雅司氏(民主党・道民連合)の質問に水産林務部の山崎峰男部長らが答えた。
CLTは、木材を交互に貼り合わせて集成・加工したパネル状の建築部材。これを使って建てた施設は、RC構造と同等の耐力を持つほか、耐火性にも優れている。工場でパネルの製造や加工が可能なことから、現場での施工が容易で迅速化され、工期の短縮が可能となる。
道によると、海外では1990年代後半から米国や欧州の商業施設、マンション、ホテルなど中高層建築物で多く利用され、地震が多いイタリア・ミラノでは13階建てのビルでも用いたという。
道内の事例では、個別の設計審査により、カラマツを活用して札幌駅前通まちづくり株式会社が屋外イベント向けの仮設店舗、協同組合オホーツクウッドピアが北見で2階建てセミナーハウスをそれぞれ建設した。
国土交通省と林野庁は、2014年度にCLTの普及に向けたロードマップを策定。16年度を目標にCLT実用化に向けた建築関係基準の整備などを進めている。
これを受けて道は、道産材の利用促進を図るため、道立林産試験場でカラマツを使ったCLTの試験に着手した。15年度は長期加重試験などを進め、16年度の実用化を目指す。
さらには、道内人工林で最も多いトドマツについても検討する。15年度から試験を始め、2カ年でデータ集積を進める。CLT導入時期はカラマツより遅れる見通しだ。
山崎部長は、CLTの実用化は道産木材の新たな需要の創出につながると強調。CLT施設の建設状況を撮影したDVDを配布して普及啓発を図るなど、早期の実用化に向けた取り組みを積極的に進める考えを示した。