苫小牧市内と安平町内で建設が進んでいた、大手資本による大規模太陽光発電所(メガソーラー)が続々と完成、稼働時期を迎えている。出力29・8メガ㍗のとまこまい勇払メガソーラーが今月1日に稼働を始めたほか、国内最大級の最大出力111メガ㍗を誇るソフトバンク苫東安平ソーラーパークは12月の稼働開始を見込む。北海道電力らが再生可能エネルギーの導入拡大に向け、南早来変電所で整備を進める蓄電システムも年内の完成を予定する。
両市町で、大手によるこれら大型のメガソーラー建設が始まったのは2013年秋以降だ。
とまこまい勇払メガソーラーは、丸紅の100%子会社が事業を展開。苫小牧市勇払、沼ノ端の約43haの土地を苫小牧港開発と苫小牧埠頭から賃借し、20年間発電する。年間の発電量は一般家庭8900世帯分に相当する。施工元請けは富士電機で、土木は日本国土開発、電気は王子エンジニアリングが担当した。
苫小牧市柏原では、シャープとオリックスの共同による、メガソーラー建設も進んでいる。計画によると、シャープ苫東の森太陽光発電所という名称で、出力規模は38メガ㍗。こちらも発電期間は20年間としている。シャープが設計施工を担い、土木は丸彦渡辺建設、電気はきんでんが施工協力する形を取っている。ことし12月という完成目標について、シャープの広報では「大きく変更していない」と話す。
ソフトバンク苫東安平ソーラーパークは、ソフトバンクグループで発電事業を担うSBエナジーと三井物産が共同で推進。安平町遠浅の166haの土地を苫東から借り受け、20年間事業を行う。設置するパネルは約44万4000枚で、年間発電量は一般家庭3万世帯分に上る。設計施工一括で東芝が受注し、土木は竹中土木、電気は東芝プラントシステムが施工協力している。
メガソーラーをめぐり、例えばとまこまい勇払メガソーラーの建設では延べ約1万8000人、ピーク時には1日当たり120人が作業に当たるなど、一定の経済効果もあった。
工事完了で建設業界には一服感も出るが、安平町の担当者は「ソフトバンクでは草刈りや除雪、災害時の対応といったメンテナンスを地元に依頼するようだ。また、固定資産税は数千万円単位となる見込みで、今後も経済効果はある」と期待。
こうした発電所建設と歩調を合わせるように、北電と住友電気工業は、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、大型蓄電システム構築を進めている。再生可能エネルギー特有の発電量のむらを調整するのが目的。蓄電には世界最大のレドックスフロー電池を用い、安平町早来の南早来変電所内で整備を進めている。蓄電容量は6万㌔㍗時。
システムは12月に完成する予定で、18年度まで3年間の実証試験を経て本格運転する。