道は17日、京王プラザホテル札幌で地域公共交通検討会議の初会合を開いた。安全を最優先とした企業への再生を目指すJR北海道が、橋梁や護岸、トンネルなど鉄道施設の老朽化対策が急務であると強調するなど、交通事業者らが現状を報告。委員からは、利用者が減る人口減少社会では、各公共交通機関が役割を分担する必要があるなどの意見が出た。
JR北海道再生推進会議が6月、地方自治体が中心となり、地域特性に応じた持続可能な公共交通網の目指す姿を総合的に検討する会議体を設置するよう提言。道はこれを受けて、北海道運輸交通審議会の小委員会として同会議を設けた。全道的な観点で地域公共交通網の在り方を検討する。
この日の初会合で交通事業者らが鉄道、バス、タクシー、航空の現状や課題を報告。厳しい経営環境にある中、車両や施設の老朽化対策が急務と訴えたJR北海道の小山俊幸常務は、安全への資金を確保するために「事業範囲の見直しなど抜本的な経営改善に取り組まなくてはならない」と述べ、利用者が少ない駅の2016年3月廃止などに理解を求めた。
フルサービスキャリアの航空会社で組織する札幌エアラインズアソシエーションの中島喜一会長は、新千歳空港への地上交通アクセス強化、グランドハンドリング体制の充実、外国人観光客の増加に伴う道内地方空港の機能強化、道民の旅行需要喚起を要望した。
委員からは「公共交通機関の役割分担、組み合わせをあらためて考える必要がある」(吉見宏北大大学院経済学研究科長)、「特性を踏まえ、どの交通機関を選択するかを地域で判断しては」(川勝敏弘北海道運輸局長)などの意見が出た。データのさらなる開示を交通事業者らに求めたり、広大な本道では地域ごとに議論する必要があるなどの指摘もあった。
次回会合は16年1月を予定。道内4カ所程度で地域意見交換会を開き、意見を踏まえて、道の計画を見直すかどうかなどを検討する。