道央コンクリート協同組合(8社、沢田満理事長)は来年1月1日の受注分から、道路用コンクリート2次製品の共同受注・共同販売を開始する。製品需要の落ち込みが激しいため、共同化で共通コストの削減を図り、生産の集約化、効率化を目指す。需要の減少は全道的な傾向で、今後は共販未実施の他地区にも同様の動きが広がりそうだ。
道央協組は札幌市とその近郊で、主に歩道の縁石、排水用の道路桝やU型側溝、道路用ブロックを生産、販売するメーカーで構成。これまで発注機関や製品使用者の技術相談、組合員の情報共有の場として役割を果たしてきた。
製品の製造・販売は各社がそれぞれ担っていたが、需要の激減と先行き回復の見込みが少ない現状から「個別の事業展開では、製品の安定的な供給体制を維持することが難しい」(沢田理事長)と判断。共同受注・共販体制に移行し、スケールメリットを生かしたコスト削減、生産事業の集約化や効率化を目指す。
同協組によると、ピークの1989年ごろ道央地区で事業展開するメーカーは21社を数え、約20万㌧の需要があった。しかし公共工事の減少に合わせ需要は減り、事業撤退などでメーカーも減った。近年は工事内容が製品使用の少ない維持や補修へとシフト。2015年度の需要は前年度を20%ほど下回る3万㌧強に落ち込む見通しだ。
一方で、上昇するセメントなど原料費、人件費、製品輸送費の吸収を図るため、各社が個々に合理化を進めているが、その努力は限界に達している。加えて生産現場はベテランが減少、生産設備の老朽化も進んだ。
ここ数年、価格改定などコスト反映に取り組んでいるものの、需要の減り幅は大きく生産原価の固定費負担が増大する傾向にあり、需要回復の見込みがない中、各社は難しい事業活動を迫られていた。
同協組は共同化で事務処理など共通経費の削減を推進。並行して組合員内で、製品ごとに生産の集約化を図り、効率的な安定供給体制の構築を目指す考え。
これにより雇用の維持や安定化につなげ、課題となっている新たな人材確保や熟練者の育成に役立てる。生じた余力は製品の改良、開発に生かし、より安全で高品質な製品や工期短縮に役立つ技術などニーズに見合った製品供給につなげる。
沢田理事長は「需要量が激減してもコンクリート製品は社会基盤整備に不可欠。安定供給体制を維持する必要がある。共同事業で企業の使命と責任を果たしていきたい」と話している。
北海道経済産業局の主要製品生産実績によると、道路用コンクリート製品は14年に前年比50%減となり、15年は1―9月で前年同期を23%下回る状況にある。需要の激減は全道的な状況で、共同化の動きは他地区へと広がりそうだ。