札幌開建は、幾春別川ダム総合開発事業で進めている新桂沢ダムのかさ上げに伴い、水位上昇の影響を考慮した地滑り対策を計画している。現時点で対象となっているのは8カ所で、工法検討中1カ所、設計済み1カ所、設計中6カ所という内訳。このうち詳細設計を終えたダム右岸側箇所には2016年度から着工する。国道に影響を及ぼす地滑り土塊の規模が大きいものから盛り土など対策工を施す考えだ。
桂沢ダムを11・9mかさ上げし機能を向上させる新桂沢ダム整備によって水位が上昇すると、土砂が浸水して浮力が増し、滑り面を垂直に押す力が弱まり、抵抗性が低下して地滑りが発生する可能性がある。このため、規模、地形形状、地滑りの誘因、滑り面の形状、基盤岩の状態、施工性、経済性、環境への負荷などを考慮しながら対策工を実施する。
対象箇所のうち、桂沢ダム南東の稲荷沢地区は詳細設計を終えているが、452号に近く盛り土が道路や国道橋と重なる部分があり、新たな対策工が必要となった。
通常ならコストを低減できる押さえ盛り土で対応するが、盛り土だけでは難しく、切り土、集水井や流路溝の施工が必要になる見込み。加えて、滑る力を弱める頭部廃土といった工法を複合的に施すため、施工手順、土砂の搬出・搬入などの検討を進めていく。
既に詳細設計を終えたダム右岸側箇所は、ゼロ国債工事として公告済み。今月23日に入札し、16年度から着工する。貯水池がある場所で、盛り土の施工ができないことから、地滑り対象区間78mに10―22mの鋼管杭48本を打ち込む。7月27日に開札を予定している本体のかさ上げ工事に支障を来さないよう先行して施工を開始する。
現在設計を進めている6カ所に関しては、安定計算により安全率を算出。押さえ盛り土だけでは対応できないと判断した場合は、稲荷沢地区と同様に複合的な対策工を模索する。
16年度は、8カ所以外の地区の調査も継続実施し、全体としてどの程度対策を施していくべきかを検討。航空写真、地形図などで地滑りの可能性がある箇所を抽出した後、地下水や滑り面の場所、土質などを調べて精査し、対策箇所を選定していく。