苫小牧のCO2分離・回収設備が完成ー4月から地中へ圧入開始

2016年03月18日 19時30分

 経済産業省の委託を受け、日本CCS調査(本社・東京)が建設を進めてきた、苫小牧CCS実証試験センターが完成し、18日、竣工式が行われた。苫小牧市真砂町の約4万m²の敷地内には、CO2を含んだガスなどを運ぶパイプラインが複雑に入り組み、地上高が最高50mに及ぶCO2の分離・回収設備が存在感を放っている。4月からCO2の圧入が始まる。

 CCSはCO2を分離・回収し、地中深くに貯留する技術。地球温暖化の原因となるCO2の排出削減は世界的課題で、国では2020年ごろの実用化を目指している。

 今回の実証試験では、隣接する出光興産北海道製油所からCO2を含むガスをパイプラインでプラントに運び入れ、高純度のCO2を分離・回収。2本の圧入井を通じ、地下約2800mの滝ノ上層、同約1200mの萌別層という2つの貯留層にCO2を送り込む。

 12年度から観測井の掘削など準備が始まり、14年7月にCO2の分離・回収設備など地上部分、同10月にCO2を貯留槽まで運ぶ圧入井にそれぞれ着工。15年10月末までに完成し、試運転を進めてきた。

 圧入井の掘削には、地下7500mと国内最大の掘削能力を持つ機械を投入。圧入井はL字形の形状で、傾斜しながら陸上から沖合へと3―4㌔の長さで伸びている。萌別層につながる圧入井では、国内屈指となる約3000mの水平掘削となった。

 CO2の分離・回収に当たっては、従来通りCO2だけを取り込む特殊な液体による方法を用いているが、液体を加熱するエネルギーの低減策を図ることで、分離・回収に伴うエネルギーを従来の半分から3分の1に抑えている。

 地上設備は日揮、圧入井は石油資源開発が元請けとなり、道内企業も数多く参加。工事最盛期には1日当たり300―500人が従事し、うち道内関係者は8割程度に上った。

 今後、CO2を16―18年度の3年にわたって年間10万㌧以上圧入し、CO2の地下での状態や地層、海洋に影響がないか確認する。年間100万㌧の圧入が実用化レベルとなっている。


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