厚生労働省と道がまとめた2015年勤労統計調査結果によると、本道の建設業は、時短(月間労働時間)と雇用(月間常用労働者数)の改善が進んだ一方で、賃金(月間給与)は下落に転じた。本道建設業の賃金は月額平均33万7800円で、アベノミクス以前の12年から7.3%上昇。他産業に比べて高水準にあるとはいえ、全国の建設業が時短、雇用、賃金とも好転している中で、本道建設業の賃金は逆行している。
本道建設業の賃金は、15年11月まで前年並みだったが、同12月の冬の賞与を含む賃金は大幅に落ち込んだ。15年平均は前年比2%減の33万7800円にとどまり、13年から3年連続の増額はならなかった。補正予算の公共事業費が急激に減少したのが要因とみられる。
ただ、公共投資政策を柱に置くアベノミクス以前の12年に比べると、2万3000円増加。全産業の平均が27万3800円と、この4年間で微増だが、建設業での改善が目立っている。
全国建設業の賃金は平均38万100円で、12年と比べて4%、1万4700円上昇。前年を1.9%上回り、3年連続の増額となった。マイナスに転じた本道とは対照的だ。
一方、本道建設業の月間労働時間は前年比2.3%減の178・9時間で、時短が進行している。この4年間で見ると、14年の183・1時間が最も長く、180時間を突破していたが、若年者の就職問題から現場での休日取得など労働環境の改善が図られたとみられる。
月間常用労働者数は12万2000人と前年を3%上回った。この4年間で最も多く、人手不足が解消される方向にある。工事発注量が最多だった14年が11万8000人で最少。工事をこなすのに厳しい状況だったことを映し出している。
全産業の15年労働時間は147・2時間で、建設業より31・7時間短い。常用労働者は175万5000人となり、この4年間で最多を記録した。
労働時間と常用労働者に関しては、全国で順調に改善が進んでいる。15年の労働時間は171・5時間で前年比0.2%減と過去最少。本道を7・4時間下回った。常用労働者は3.2%増の281万1000人で、過去最多となっている。