小中学校整備の未採択が6割も-文科省予算不足で道内

2016年05月10日 19時16分

 道教育庁は10日、2016年度の小中学校施設整備計画の補助交付金採択状況を明らかにした。16年度に道内で計画されている246件のうち61.4%の151件が文部科学省の予算不足により未採択となっている。道は整備計画を円滑に実施するため、早期の財源確保を求める緊急要望書を5月下旬に文科省へ提出する。10日の道議会文教委員会で報告した。

 文科省は、改築や増築、大規模改造などに公立学校施設整備費負担金と学校施設環境改善交付金の国庫補助金を設けている。16年度当初予算は709億円で、15年度補正予算を合わせても1097億円となり、全国自治体の要望を踏まえた概算要求額2089億円を大きく下回ったことから新規事業の未採択が相次いだ。

 16年度の道内事業計画は62市町村の246件で87億7100万円。このうち採択されたのは、26市町村の95件、52億9900万円にとどまり、53市町村の151件、34億7200万円が未採択となっている。採択されなかった主な事業は、老朽化などによる危険改築事業で8市町(小学校7校、中学校4校)、不適切改築では7市町(小学校6校、中学校3校)、大規模改造のうち外壁や屋根・天井などの改修事業が11市町(小学校9校、中学3校)、教室や屋内運動場の空調設備改修が8市町(小学校8校、中学校6校)、体育館のつり天井など防災強化改修事業が7市町(小学校8校、中学校1校)など。

 文科省は、危険改築と不適切改築の継続を優先採択とし、そのほかの事業については、財源が生じた場合に採択するとしている。

 道は学校施設の耐震化率が全国平均に比べ低く、耐震化の早期完了が求められることなどから、5月下旬に文科省へ緊急要望書を提出し、財源確保を求める。

 15年度も109件が不採択になり、84件が地方債を増額するなどして実施し、20件が取りやめ、4件が16年度に見送られるなど、新規事業が採択されにくい状況が続いている。

 本紙調査では札幌、旭川、苫小牧の3市で採択が見送られたことが明らかになっている。札幌市では建築主体15億円超となる中央中と約5億6000万円の本通小が仮契約まで済んでいたが契約解除となったほか、入札が中止になるなど、整備計画の進ちょくに影響を及ぼしかねない状況となっている。


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