釧路市は、釧路駅周辺整備について、災害などの緊急時に起きる渋滞などの課題を踏まえた自動車避難シミュレーションをまとめた。結果的に、釧路駅を境に南北に分断されている都心部の車両通過では、大地震発生時には、北大通―共栄新橋大通と市役所横通の2本の新設交差道路の配置が最も効果的になると提案した。
釧路駅周辺整備に当たっては、2007年5月に駅周辺まちづくり検討委員会が策定したビジョンを基に、鉄道高架化と駅舎橋上化の2つのプランを示していたが、財政上の理由などで凍結。
15年度に設置した有識者検討部会の中間報告を受けビジョンを策定する予定だったが、津波対策の整備の根拠となる国の津波高の推計作業が遅れていることから延期としていた。
しかし、国の推計公表が17年度になる見通しが分かり、まずは道が示している推計を基準に検討し、国の推計が公表された時点で必要があれば修正することにした。
防災の観点で都心部の道路網は、大地震などで釧路駅から南側(海側)に避難する際、壁となる鉄道を縦断して北側(内陸)に移動する必要があり、避難車両が旭こ線橋と北中こ線橋に集中するという課題がある。
シミュレーションでは橋北・鉄北・愛国地区を範囲とし、道路の津波浸水想定を基に地震発生から20分後に釧路駅の南側から北側の安全地点まで到達できる交差道路を試算した。
その結果、①橋北東3線延伸②北大通―共栄新橋大通③橋北西2線延伸、④駅前南浜通と鉄北幹線通を結ぶ市役所横通の4案から、②と④の2本の交差道路を整備することが「最も効果的」と結論付けた。現況道路網より15分短縮できる。
市は7―8月にも有識者検討部会を開き、調査結果を報告。鉄道高架や駅舎橋上を選択する上での判断材料としてもらい、年度内にも同部会から答申を受け、駅周辺の整備手法を方向付ける考えだ。