道内の企業立地の動きが堅調だ。道の2011―15年度の5年間の企業の新設・増設に対する補助実績は、116社に対し61億1385万円を交付し、年度平均では23社、約12億円を助成している。全体の4割が新設、6割が増設で、近年は立地件数が伸びていることを踏まえ、他の都府県との地域間競争に負けないよう補助制度の見直しを検討する。
業種別に立地企業を見ると、食料品製造業が45社と全体の約4割を占め、続いて新エネルギー供給業と金属製品製造業が各9社、輸送用機械器具製造業8社、飲料・たばこ・飼料製造業6社など。
新増設の内訳は、道内企業の増設が52社と最も多く、道外企業の新設28社、道外企業の増設19社、道内企業の新設17社と続く。
地域別では、道内市場が集中する石狩管内が26社と最多。札幌市近郊とのアクセスの良さや倉庫など物流施設が集まる利便性などを理由に食料品製造業やエネルギー関連産業の集積が進む。次いで新千歳空港や苫小牧港などインフラが充実する胆振が16社と続き、上川15社、渡島14社、空知11社となっている。
雇用確保については、食料品製造業が574人と全体の4割を占め、輸送用機械器具製造業が216人、コールセンター業が210人の順になっている。
道は、補助制度の実績のほか企業立地件数も集計。これによると、15年度には104件と07年度の統計開始以降で過去最多を更新。近年は右肩上がりで推移し、工場や設備整備には立地の表明から3年程度の時差があるため、今後、補助申請が増える見込みだ。
道経済部産業振興課の藤村弘之立地担当課長は、食料品製造業の立地件数が多い理由として「豊富な素材を求めて進出する企業が多い」と分析。道外への出荷には物流コストの課題がある中、「素材の調達と加工を道内に集約することで、品質の価値向上によりコストの相殺につながった企業もある」と話す。
今後の補助制度見直しについては、企業立地による雇用や税収など費用対効果を加味しながら検討する考えだ。