札幌市下水道河川局は、2016年度に予定する管更生工事全20件の発注を完了した。今後の工事量増大を見据えて施工可能業者数の拡大を図るため、入札参加要件の見直しなどに取り組んだ結果、20件中7件を新規参入の7者が落札している。市が下水道中期経営プラン2020で示した16年度の目標整備延長である10㌔にはわずかに届いていないものの、今後国の経済対策による第2次補正予算などで追加発注する見込みもある。
16年度に発注した管更生工法工事は全20件で、同工事と一体発注した取り付け管分を除く整備延長は約8・5㌔、当初契約額は約12億5000万円に上った。
20年度までの中期経営プランでは、管更生工法を主流とする老朽管対応の事業量として16年度に10㌔、その後は毎年度5㌔ずつ増やし、5年間で計100㌔という整備目標を掲げた。さらに将来は、年間施工延長約60㌔という膨大な事業量を見据えている。その実現に向けて求められているのが、同工法に対応できる施工業者数の増加だ。
本年度は下水道のA1等級とA2等級で各4件、B等級で12件を発注した。このうち、元請け実績を有する資格者数が少ないため参加に際して実績の有無を問わないA1を除き、A2とBに適用する制限付き一般競争4件では管更生のほか開削工事も実績として認め、成績重視型3件では下水道工事全般の成績を対象に含めるという緩和措置を実施。
開札結果を見ると、A1は4件全て、Bは3件を計7者の新規参入業者が落札した。このうちBの3者はいずれも要件緩和で参加が可能になったケースだった。
同局では、新規参入業者が全体の3割を占めたことについて、取り組みの手応えを実感。5日の札幌市土木事業協会との意見交換会で「今後も実績のない企業が参加できるよう継続を」との要望を受けたことを踏まえ、担当者は「来年度以降も新規参入を促すような条件付けを考えていきたい」と話していた。
またA1では、4者の参入により実績を有する業者数が計11者に増加。一定数以上の条件を満たすため、17年度からは実績要件設定の対象とすることを検討している。
一方、本年度の発注延長は、中期経営プランで示した目標に届かなかった。新規参入には多額の投資設備や人材確保といった企業側の負担が伴うことから、確実な事業量確保を求める業界側の声は根強い。
同局担当者は、16年度に目標を下回った理由として、国費内示額が要望段階から約10億円減額となった影響を挙げる。その半面、「プランに示した5年間の計100㌔については、財政側との確約もあるので確実に実行できる」と自信をのぞかせ、「不足分は今後4年間で調整する」と話す。
国の経済対策による第2次補正予算には、管更生を中心とする老朽管対策事業などを中心に要望していく方針で、年度内に追加発注となる可能性もある。
また、管更生を含む老朽管改築は17年度から防災・安全交付金事業の対象から外れる見通し。単費に切り替わることに伴い、次年度からの老朽管改築はゼロ市債として早期発注することも可能となる。