札幌市経済観光局は、施設老朽化などの課題を抱える大谷地流通業務団地の高度化ビジョンをまとめた。物流施設の高度化・効率化などを柱に、現在の土地利用では難しい異業種同士の共同施設建設などが可能となるよう、用途規制の緩和に取り組む考えだ。
同団地は、白石区流通センター1―7丁目の約154haに広がる。JR貨物のターミナルを擁する広域物流拠点として、運送業、倉庫業、卸売業、トラックターミナルなど、土地利用区分ごとに約170社が立地している。
しかし1967年の開設から40年以上経過し、施設の老朽化が進行。物流高度化の一環で運送や倉庫、卸売といった従来の業種の枠を超えて事業展開する動きも出てきているが、そうした企業側のニーズと現在の土地利用規制が必ずしもマッチしていないなど、団地全体の機能低下が課題となっている。
市が実施した調査でも、比較的新しい7丁目を除き、団地全体で老朽化が進行。改修や建て替えを希望している企業は多いものの、代替地確保や共同上屋での入居企業同士の調整などが課題となっている。
そこで同局は、団地に立地する事業者10社を中心とした検討会を設立。高度化に向けて将来像を話し合い、「施設更新に伴う物流施設の高度化・効率化」「物流機能の向上」「北海道のハブ機能を担う物流拠点」の3本を柱とするビジョンをまとめた。
具体的な手法として、デベロッパーと連携して初期投資を抑制することや、流通加工機能の拡充、共同輸送による効率化を挙げている。
同局はこの実現に向けて、異なる業種が共同で施設を建設できるよう用途規制を見直すほか、容積率などの建築規制についても緩和を図る考え。
建て替え用地の確保に当たり、市が所有する札幌花き地方卸売市場の敷地の一部約8800m²や、大型展示場「アクセスサッポロ」の建物と駐車場の敷地約5万m²の活用も、必要に応じて検討していく。
秋以降、環境整備に向けた課題を検討会で議論。17年度に入居企業の合意を得て、18年度にも都市計画手続きの前段となる国との協議を進める方針だ。