北海道建設業信用保証(本社・札幌、吉田義一社長)は15日、中間前払い金制度の普及と改善を目的に実施したアンケートの最終結果を発表した。札幌市以外の市町村では、同制度を利用しなかった理由として約5割が「対象工事ではなかった」と回答していることから、同社では「利用したくてもできなかったという実状が浮き彫りになった」と指摘。今後の利用予定を問うと「利用したい」と「制度が改善されれば利用したい」が合わせて85%に達しており、利用の前提となる制度導入を強く訴えていく方針だ。
中間前払い金制度は、契約締結後に受け取る4割以内の前払い金に加え、さらに2割までの範囲で前払い金を追加請求できる制度。北保証によると、本道では国や道、札幌市などが導入しているが、札幌市以外の市町村は大型工事の少なさなどから導入は20%強にとどまり、全国最下位となっている。
これらの改善を目指し、同社では2015年3月から8月末までに前払い金保証した道内土木工事全件を対象に、企業別・工事別に利用予定を質問する第1回アンケートを15年9月に実施した。次いで16年4月の第2回アンケートでは、利用した工事、利用しなかった工事ごとに設問を作成して再び調査した。
利用した工事では、98%が「また利用したい」と回答し、利用しなかった工事でも27%が「次回は利用したい」、57%が「制度改善を前提に利用したい」と答えるなど、利用希望が多いことが分かった。
利用しなかった場合の資金調達については「手持ち資金で対応」が全体の50%と最多だが、このうち約3割は手持ち資金に余裕がない中での対応だった。また、中間前払い金を利用しなかった工事のうち、15%が「竣工代金の入金を待った」との回答を寄せていて、同社では「下請け企業や資材業者への支払いが竣工代金入金後になったのではないか」と分析している。
手続きした印象は、利用した工事が「非常に簡単」と「簡単」を合わせると各発注機関とも90%強となっている。しかし利用したことがない工事での印象は「非常に複雑」「複雑」が約5割となっており、「実情に比べ、行政機関の手続きは複雑というイメージが先行しているか、過去に手続きが複雑だった経験が影響しているのではないか」と分析し、「一度利用すれば印象は変わるのでは」と話している。また、利用した工事のうち、4割強が「発注者(監督員)が協力的であること」を求め、発注者に起因する改善要望を挙げている。
同社では、これらの調査結果を受け、市町村での導入率の低さが制度利用にとって最大の課題と分析。各市町村の建設協会などと協力して、これまで以上に導入を働き掛ける考えだ。また、発注者や受注者に改善要望を伝えるほか、利用者の満足度が高いことから「未利用者に対して手続きが簡単という現状を広くPRしていく」(同社)という。