道と札幌市は、15日に市役所本庁舎で丘珠空港の利活用検討会議を開いた。この中で有識者からは滑走路延長などで空港の利活用につなげるべきとの指摘が相次ぎ、〝稼げる空港〟への期待の高さをうかがわせた。両者が2017年度末にまとめる利活用の在り方で、これらの意見を踏まえ、どこまで踏み込んだ内容とするかが注目される。
この会議は、6月の行政懇談会で道と札幌市が合意したことに基づき設置したもの。空港民営化や航空機の技術革新といった環境変化を踏まえ、丘珠の課題、役割などさまざまな観点から実務者レベルで定期的に検討し、利活用策を練る。
これまでは道と市だけで協議してきたが、幅広い意見を得ようと、今回初めて有識者、空港関係機関の担当者を招いた。有識者は北大公共政策大学院長の石井吉春氏、北大工学研究院の田村亨教授、北大公共政策大学院の高野伸栄教授の3人。空港関係機関として札幌商工会議所、北海道エアシステム、フジドリームエアラインズ、北海道中央バス、北都交通、札幌丘珠空港ビルの各担当者が参加した。
田村教授は「丘珠が稼げる空港であることを前提に、共用空港問題や騒音問題を解決していくべき」と発言し、公益事業を市場の効率性に委ねることも柔軟に考えるべきと提起。
高野教授は、北海道に新幹線という高速交通手段が導入されたことで「当面JRが高速化されない道東や道北地域は、鉄道やバスのままでは仕事や観光で不都合が多い」とし、「航空網の拡充が北海道にとって重要な役割を担う」と論じた。
北都交通の渡辺克仁社長はバス事業者の立場から、吹雪で千歳が欠航しても丘珠が使えれば空の便の安定性が高まるとし、「丘珠が、都心アクセス道路や北海道新幹線と同時並行的に整備できれば札幌の宝物になる」と指摘した。
丘珠空港は、道が20年を目標とする第1弾の空港民間委託の枠組みには盛り込まれなかったが、札幌都心から約6㌔と近く利便性が高いことから、今後の活用方策が期待されている。