自動車クラッチ板製造などのダイナックス(千歳市上長都1053の1、秋田幸治社長)は24日、苫小牧市柏原にある苫小牧工場の拡張計画を発表した。1期計画として、総額70億円強を投じてクラッチに使用する抄紙設備などが入る建物3棟、延べ約1万6800m²を建設。鹿島に施工を依頼し、4月に着工する予定だ。開発センターの拡張など2期、3期計画も構想している。
同社主力製品のクラッチ板は、鉄板と紙に樹脂を塗った摩擦材の大きく2つで構成。現在、紙は使用する8割を外部から調達し、鉄板はプレス機の仕様に合わせ、カット済みの鉄板を専門会社から購入しているが、紙の内製率を引き上げ、鉄板加工を工場内で行うことによってサプライチェーンの効率を高めるため、今回の投資を決めた。
具体的には、第4工場の西側に抄紙設備が入る工場(延べ5467m²)、第5工場を挟み、これまで従業員駐車場として使っていたスペースを使い、スリット作業と呼ばれる鋼材の加工を行うコイルセンター(延べ6479m²)、物流センター(延べ4885m²)の計3棟を建設する。いずれもS造、平屋。
コイルセンターは、同社が建物を建て、スリット作業は専門会社などに業務委託。物流センターは道央圏に点在している4つのセンターを集約する形で効率化を図る。
設計は東畑建築事務所(本社・大阪)が担当し、2018年3月の完成、早ければ同年6月の稼働開始を見込む。
秋田社長は1期計画について「競争が激しくなり、摩擦材に対する客の要求も高まっている。技術的な対応を含めて、競争に勝っていくための準備」と説明。
既存敷地内では従業員駐車場の移転により、空きスペースがあることに触れ、2期計画として「開発センターや金型部門工場の拡張、生産設備を内製化するための建屋などを構想している」とした。
既存工場の隣接地で苫東から取得した約6万m²の用地については「駐車場として2万m²を利用しており、残り4万m²ある。国内外の仕事の伸び、新規事業などを見ながら決めていく」と述べた。