直轄工事で電子小黒板活用が可能にー各社から対応ツール

2017年02月07日 19時29分

 国土交通省の直轄工事で電子小黒板の活用が可能になった。デジタル写真の改ざん検知機能を搭載した撮影ツールを利用する必要があり、機能開発に関わったダットジャパン(本社・札幌)などから対応ツールが販売されている。電子小黒板の活用は、撮影の省力化や整理の効率化など現場の生産性向上が期待され、公共事業への導入を機に現場利用が急速に広がりそうだ。

 工事写真の撮影には、これまで工事黒板が使われてきた。撮影者と手持ち要員など複数の人員が必要で、現場で情報を書き込むため雨天時にはかすれるといった課題もあった。

 これに代わるものとして近年、注目を集めていたのが工事黒板をデータ化した電子小黒板機能を搭載した撮影ツールだ。

 デジカメ内蔵やスマートフォン、タブレット端末用のアプリケーションなど形態はさまざま。工事黒板が不要になるため、撮影人員の省力化や天候の阻害要因も解消した。

 写真管理ソフトと連動するものが主流で、撮影リストづくりや撮影後の自動振り分けなど写真整理の効率化も期待でき、民間工事の一部では導入が進む。

 ただ、デジタル写真は改ざんが容易で、過去には工事写真の改ざん事件も発生している。

 検証作業を進めてきた国交省は、信頼性を担保する改ざん検知機能を搭載することを条件に、直轄工事への電子小黒板活用を認めた。2月1日以降に発注する工事で、受注者の申請を発注者が承認すると利用が可能になる。

 改ざん検知機能は、日本建設情報総合センターとダットジャパンが共同開発し、加工や改ざんを検知し画像に記録する仕組みを整えた。チェックツールの提供も開始し、発注者の確認作業も効率化する。

 通達に合わせ、同社や建設システム、福井コンピュータなどソフトウエア各社は、対応撮影ツールの提供を始めた。価格は数千円から10万円前後と幅広く、対応する端末もさまざまだ。連動する写真管理ソフトもそれぞれ異なるため導入時は注意が必要となる。

 ダットジャパンが提供するiOS対応の撮影ツール「現場DEカメラPRO」を見ると、機能はリスト読み込み、電子黒板選択、撮影や一覧表示とシンプルな構成。

 連動する工事写真ソフト「現場編集長CALSマスター」「フォトマスタープラス」は、リスト作成や撮影後の自動振り分けなど豊富な機能で作業効率化を支援する。

 同社は「生産性を高める利点が認知されるにつれ普及が進む」(柿崎保生ソリューション事業部執行役員)と展望。年内に出来形管理やウエアラブル機器との連携など機能強化を図り「より便利なものを提供していきたい」と話している。


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