防災拠点指定で耐震改修の補助率拡大-登別市内で適用待ちも

2017年02月16日 19時14分

 登別市は2017年度、耐震改修工事費補助制度を見直し、国の改正耐震改修促進法に基づいて避難所などの防災拠点に位置付けられた場合の補助を拡大する。市内には耐震改修の対象だが未着工とみられる大型ホテル・旅館が4事業者5棟ある。この見直しを踏まえ、第一滝本館が当初1月を予定していた着工時期を遅らせ、防災拠点の指定を待つなどの動きも出ている。

 国は13年に改正耐震改修促進法を施行。1981年5月31日以前に着工した3階建て以上かつ延べ5000m²以上の病院、ホテル・旅館などの大規模建築物に対し、耐震診断実施と結果報告を義務化した。

 市は耐震診断費補助を14年4月、耐震改修の設計費補助を15年4月、工事費補助を15年11月にそれぞれ制度化している。工事費補助制度は19年3月31日までに補強設計に着手するものを対象として、市が、国の間接補助分を含め23%を支出(市の負担分は5.75%)し、国がさらに21.8%を補助。残る55.2%は事業者負担となる。

 市内では、登別温泉地区のホテル・旅館5事業者6棟が年次、階数、面積などの基準に該当。登別温泉(本社・登別)が所有し、グランビスタホテル&リゾート(同・東京)が運営するホテルゆもと登別は、耐震補強を済ませた。

 耐震改修促進法の改正で、防災拠点に位置付けられれば国や道の補助率が拡大することを受け、市も17年度から、耐震改修工事費補助制度で防災拠点に位置付けた場合の規定を追加。新制度では、国が40%、道と市が16.65%ずつ補助するため、事業者の負担は26.7%に半減する。

 残る未着工の建物は、設計中のものも含め具体的な方針が未定。市は対象となる施設名称を公表していないが、今後、いずれも防災拠点に位置付けることで補助率拡大を図る見通し。ただ、補助を受けるには、18年度末までに補強設計に取り掛かることが原則となる。

 改修を終えたゆもと登別も含めた5事業者6棟の工事費総額は、40億円に上る見込み。市の担当者は「市の負担は増えるが、この見直しで耐震化の動きが加速するのでは」と期待する。

 第一滝本館の担当者は「防災拠点の指定を受けられれば補助金額が上がるため、待つことにした。指定が決まり次第、工事に取り掛かる」と話している。


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