2016年(1―12月)の道内建築確認件数は、前年比5.4%増の1万8818件と2年連続で増加した。低金利や相続税対策を目的とした投資などを背景に貸家建設の需要が急増。世界的な株価暴落のリーマンショックが起きた08年以降としては、消費増税に伴う駆け込み需要のあった13年に次ぐ高い水準となった。17年について住宅関係団体や金融機関は、緩やかな増加を予測。ただ、16年のような力強さはないとみている。
道建設部建築指導課がまとめた建築確認済み件数を集計した。16年12月は、木造戸建て中心の4号が937件で8%、1―3号が292件で24.9%それぞれ前年同月から減少。これで16年の累計は、4号が4.8%増の1万4175件、1―3号が7.5%増の4643件となった。
内訳を見ると、1―3号は、7割程度を占める特定行政庁のうち、苫小牧と室蘭を除く全ての機関で増加した。4号は特定行政庁が8%増の9714件、限定行政庁が7.8%減の3111件にとどまる一方で、総合局・振興局受け付けは16.4%増のの1350件と好調だった。
大手ハウスメーカーで構成する住宅生産団体連合会が実施した住宅景況感調査によると、16年度第4四半期(1―3月)は「株価上昇に伴い高所得者層の需要増が予測され、単価の上昇・大型物件がけん引する」と各社プラスの見通しとしながらも「米国新政権の動きもあり見通しが不安定」「大きな市場変化はなく、低調な市場関係が続く」との意見もあり16年に比べると勢いに欠けると予測する。
日本不動産研究所の稲葉勝巳道支社長は、建設費の高騰などが影響し、16年に急増した貸家の勢いは落ち着くと予測。「16年のような勢いはないものの、17年度は緩やかに増加する」とみている。
一方で北海道銀行は、持ち家や分譲戸建ての戸数が住宅ローン金利の引き下げにより新設着工の後押しとなるものの、消費増税を見据えた16年度の駆け込みで需要が先食いされたことを勘案し、減少に転じると予測する。