気候変動予測データから本道の降雨など分析へ-検討委が国内初の試み

2017年07月12日 19時15分

 北海道開発局と道が事務局を務める「北海道地方における気候変動予測(水分野)技術検討委員会」(委員長・中津川誠室工大大学院教授)は12日、北海道開発局研修センターで初会合を開いた。事務局が提案した気候変動予測データによる将来的な大雨などの分析方法を話し合い、委員の承認を得た。秋ごろにも分析結果を中間報告し、冬ごろの会合で影響予測の結果を取りまとめる見込みだ。

 同委員会は2016年8月に発生した大雨災害に関する水防災対策検討委員会の報告書を受けて発足した。従来の治水計画は過去の降雨実績に基づいて設定されていたが、今後は地球温暖化などの気候変動によって、今まで見られなかった大雨が降る恐れが高い。本道はこれまで降雨量も少なかったため、気候変動による影響が大きいと考えられる。

 同委員会では気候変動がもたらす影響を踏まえて、将来的な降雨量や洪水流量をシミュレーションすることで新たなリスク評価を算出し、社会全体で共有することを目指している。中津川委員長によると、日本では初めての試みだという。

 初会合では委員会の具体的な取り組みとして①気候変動予測データを活用した将来的な本道の降雨推移・分析②昨夏の大雨で甚大な被害を受けた常呂川・十勝川をモデルケースとした洪水量の変化算出③浸水域や人的被害などリスク規模・形態・頻度算定と社会全体での共有を提示。最新の気候変動シナリオや変動予測データを活用した分析方法や、将来の降水量の算出方法などを議論し、事務局案で承認を得た。

 今後は将来的な降雨量の分析に入り、第2回会合で中間報告する。冬ごろに開く第3回会合までにモデル河川の洪水量やリスクも算出する見込み。

 中津川委員長は「気候変動を踏まえた対応策は待ったなしの状況だ。最新データを活用して将来的なシミュレーションをすることで、地球温暖化の影響が浮き彫りになる」と分析の重要性を説いた。


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