小樽港色内ふ頭の岸壁補強 概算工事費は35億円 

2018年03月01日 08時30分

 小樽港色内ふ頭は老朽化により立ち入り禁止となっているが、この解消に向けた対策にかかる概算工事費は、小樽市水道局所管分でおよそ22億円に上る見通しだ。同局は南側岸壁の補修補強に必要な実施設計を2018年度に発注し、19年度の工事着手を目指す。このほか、同ふ頭では市産業港湾部所管部分の補修補強も必要と見込まれることから、概算工事費は全体で35億円に上るもよう。

 色内ふ頭は、1975―80年にかけて整備された。市の中央下水終末処理場が所在し、地下には水処理施設、上部には色内ふ頭公園が整備されている。

 完成からおよそ40年が経過し、産業港湾部が14年度に老朽度合いを確認するため簡易的な潜水調査を実施したところ、岸壁を支える鋼管杭などが腐食し、多くの穴が空いていることが分かった。

 水道局も17年度に地中レーダー探査や潜水目視などによる護岸などの安定性照査を発注。北日本港湾コンサルタントが税抜き2160万円で受注し、昨年5月から業務に取り掛かった。

 昨年9月の中間報告でによると、上部コンクリート(厚さ2m)、エプロン部幅11mを鋼管杭と鋼管矢板で支える南側岸壁352・4mと、冬季は雪捨場となっている北東部の護岸Ⅱ70m(鋼矢板部35m、鋼管矢板・鋼管杭部35m)で安定性が確保できていないことが判明。

 具体的には、南側岸壁で鋼管矢板205本のうち92本に穴が確認された。海水などで腐食が進んだものとみられ、直径は小さいもので10cm程度、大きいものでは1mを超えている。

 同じく、護岸Ⅱでも鋼管矢板22本のうち14本、鋼矢板107枚のうち8枚に穴が空いていた。これらの穴から埋め立て土が海に流出する吸い出し現象が発生すると、岸壁や護岸の舗装部が傾き、陥没する危険性がある。

 このほど同社がまとめた南側岸壁の老朽化対策案は、現在の鋼管矢板よりも陸側に、新たに鋼管矢板を打ち込み、上部コンクリートも陸側に3m新設するという内容。これと並行して、既存鋼管矢板の腐食部分を電気防食と被覆防食で補修する。

 水道局では新年度予算案が可決され次第、速やかに南側岸壁の補修補強の着手に必要な地質調査、実施設計を発注する予定。工事は早ければ19年度から着手し、3、4年程度で終えたい考え。

 市は産業港湾部所管分を含む色内ふ頭全体の補修補強に、5カ年程度かかるとみている。


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