浦河高は17日、1年生を対象に展開しているキャリア教育「職業人講話」を開いた。今回は林業への理解を深めてもらおうと、日高森づくり協同組合、ひだか南森林組合が講師を担当。近年の木材需要の高まりや機械化の進展、女性オペレーターの増加などを紹介し、約110人の生徒へ進路の選択肢としての林業をPRした。
職業人講話は「産業社会と人間」という科目の中で行われ、生徒がさまざまな仕事に触れることで職業への意識を高め、自分の適性や働く意義を見つめるもの。本年度は全2回を予定し、先週開いた前回の講話には病院や漁協から講師を招いた。林業は日高管内の基幹産業の一つだが、担い手不足が深刻。この事態に対し日高振興局森林室がサポートし、日高教育局への打診で浦河高での授業が実現した。
講師を務めたのは、日高森づくり協同組合の事業体である津田組(本社・浦河)の津田一彦社長、鬼頭木材工業(同・苫小牧)の飯田隆典様似工場長、ホリタ(同・広尾)の堀田真社長と、ひだか南森林組合(本所・様似)の盛孝雄専務理事。「機械化が進んで、昔より体の負担や危険を回避できるようになった。女性のオペレーターも増えている」「木質バイオマス発電もあり、木材の需要が高まっている」と発展している林業をそれぞれの視点でアピールした。
さらにかつては過度な伐採で土地が荒れ「えりも砂漠」と呼ばれたえりも岬で、海に土砂が流出し漁業被害も出た歴史にも言及。森林整備は豊かな海にもつながるため「海も守っているというプライドもある。林業はスケールの大きい仕事」と魅力を伝えた。
生徒たちはメモを取りながら熱心に講話を聞き、「林業の必要性が分かった」と講師陣に感謝を述べた。森林室の福島淳普及課長は「地域に林業があることを知ってもらおうと企画した。担い手確保へ業界が協力していく意識付けにもなれば」と話している。