政府は24日の閣議で、西日本を中心とした豪雨災害を激甚災害指定した。5月20日から7月10日までの間に被災した、北海道を含む全国を本激指定。地方自治体の道路、農地などの復旧事業に対する国庫補助率が1―2割引き上げられる。
18日現在の査定見込み額は、公共土木施設が3210億円に上り、激甚災害への指定基準を満たした。農地が161億円、中小企業被害が4783億円などとなっている。
指定地域では河川や道路といった公共土木施設や農地、学校などの復旧事業に対して国が財政支援。公共土木施設災害復旧は過去5年平均で70%から84%に、農地などの災害復旧に関しては82%から95%まで補助率をかさ上げしている。
このほか中小企業信用保険の限度枠別枠化や保険料率引き下げ、被災した公営住宅建設補助なども実施。27日に公布・施行される。
道内では停滞した梅雨前線が2―5日にかけて豪雨をもたらした影響で、上川管内など道北を中心に洪水や土砂災害が発生。道道天人峡美瑛線では道路半断面の決壊、遠軽芭露線では、いわね大橋の橋脚沈下による上部の湾曲といった公共土木施設被害が出ている。
直轄河川では石狩川、雨竜川、留萌川、尻別川で農地などの浸水被害が出たほか、道管理河川ではペーパン川や倉沼川、辺別川の河岸決壊といった流量増加による被害も報告されている。
従来は激甚災害指定までに数カ月かかっていたが、被災自治体の迅速な復旧を後押しするため、政府は昨年12月に運用を改善。被害調査着手から最速1週間程度で「指定見込み」を公表できるようにした。安倍晋三首相は15日、運用改善後初のケースとなる指定見込みを公表。21日に広島県を訪問した際、24日に閣議決定する方針を示していた。 最近では、福岡、大分両県などに大きな被害をもたらした昨年7月の九州北部豪雨が激甚災害に指定されている。