札幌市電、上下分離方式20年度に 新運送事業者は3セク

2018年10月23日 07時00分

 札幌市交通局は、路面電車の新たな経営形態として検討していた上下分離方式で、2020年度の導入を目指し、運送事業者に市交通事業振興公社を想定していることを明らかにした。今後は4定市議会で市の導入に関する考えを表明。国土交通省への軌道運送高度化実施計画の変更申請に向けては、19年1定市議会に議案提出する方針だ。

■変更申請へ1定に議案提出

 22日の市議会第2部決算特別委員会で、細川正人氏(自民党)に対し、渡辺寛也事業管理部長が答弁した。

 12年に策定した路面電車活用計画で、経営健全化・効率化に向けた経営形態の見直しとして、市が施設・車両の整備保有、別の事業者が運行を担う上下分離方式の導入検討を表明。国内では富山市が路面電車で同方式を導入している。

 細川氏は、改めて同方式の導入意義で質問。渡辺部長は路面電車の運営は赤字基調で、全体の7割を占める非常勤運転手職員もこれ以上の拡大は安全管理体制維持に支障を来すとし、「現経営体制の運営は難しい状況にある」と説明。

 導入により収支採算性や安全管理体制の確保、同局が施設整備を担うためまちづくりへの参画が可能なほか、「新たな事業者によるサービスアップも期待できる」と強調した。

上下分離方式の導入で、経営安定化やサービス向上が期待される路面電車

 今後のスケジュールは、4定市議会で上下の役割分担や収支採算性の見通しなどを盛り込んだ導入の考えを示しつつ、市営企業調査審議会での審議を予定。国交省への変更申請などを経て、20年度の導入を目指すとした。

 運送事業者に関しては、技術の継承や緊密な連携、まちづくりへの活用で市の意向を反映できるよう市の出資団体を想定し、「連携実績がある市交通事業振興公社が望ましい」と明かした。

 同公社は市が50%出資する第3セクターで、現在は地下鉄全駅の管理業務を担っている。

 第1部決特では、飯島弘之氏(自民党)が富山市を例に、新幹線札幌延伸に合わせた2次交通と連携強化で路面電車の活用を提案。上下分離方式の導入により、路面電車と広域交通の連動、都心まちづくりとの連携強化が期待される。


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