藤城建設(本社・札幌)は、自社で設計・施工した平屋のモデルハウスを公開している。高い断熱性を誇り、協力業者とのネットワークを生かした低価格での建設が特長。子育て世代から年配者まで幅広い人に向け、提案している。
モデルハウスはモエレ沼公園に近い札幌市東区中沼1条1丁目1の15にある。敷地面積は184m²。W造の延べ73m²で、3LDK。広めのリビングダイニングが特長だ。3月30日から公開している。
床材や建具、照明、ハイドアなどはパナソニック製。YKK APの玄関ドア「イノベスト」など高断熱を実現する製品を採用した。UA値は0・28―0・30程度。
2018年8月に平屋住宅の企画・提案に特化した専門店「平家製作所」を立ち上げた。1500万円(税抜き)以内で建設できる、9―26坪(29・7―85・8m²)に対応する25の商品プランを展開している。
建物の妻側から出入りする「妻入り」にすることや、出窓の下に設けるFFストーブ1台だけで全室を温めることなどが基本だ。3カ月程度で完成。中沼のモデルハウスは、平家製作所が手掛けた平屋として2棟目となる。
平屋は、暖かくてコンパクトな家を求める人や、子どもが独立して夫婦2人になった世帯、住宅を建て替えたい年配の土地所有者などから需要がある。
若い世代からは、車を所有しているため都心から離れていてもいい、環境がいいところで子育てをしたいというニーズがあるという。設計・営業/企画開発の川内玄太チームリーダーは「若い世代は、広くて安い土地に平屋を建てる方が優雅だと考えている」と話す。
平屋の建設には、ある程度の広さの土地が必要で、通常2500万―3000万円ほどかかる。しかし、価格を1500万円以内に抑えることで、所得が高くない人や、ローンを組みにくい年配者でも購入できるようにした。
藤城建設は、低価格・低燃費住宅「ゆきだるまのお家」が好評で、全国に広がっている。ゆきだるまのお家を始めてから、手掛ける建物数が右肩上がりに伸びた。18年は86棟を完工。ことしは110棟を見込んでいる。
着工数の増加に伴い、住宅設備メーカーなど取引業者の仕事が増えた。金額据え置きで製品をグレードアップするといった協力を引き出せたり、値下げ交渉の努力もあって低価格化を実現している。
協力業者だけで建てるため、質を保つことができるのが強み。平屋は職人の数が少なく済み、作業の効率化や負担の軽減も図られる。
川内チームリーダーは「高断熱な平屋を低価格で提供できるノウハウは当社しか持っていない」と自信を見せる。今後、壁面埋め込み型Wi―Fiを標準化する。現在の戦力で「年間20棟の平屋を手掛ける」のが目標だ。
モデルハウスの公開は6月末まで。見学には事前の予約が必要だ。