総合化学メーカーのトクヤマ(東京都千代田区外神田1丁目7の5、横田浩社長)は、南幌町内で太陽電池モジュールのリサイクル事業に向けた実験施設を建設すると発表した。7月の着工、年内の完成を予定する。2021年度に触媒使用によるリサイクル技術を構築し、23年度の事業化を目指している。
同社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募していた太陽光発電システム長期安定電源化基盤技術開発に関する事業に採択されたため、触媒を使用して廃棄された太陽電池モジュールの部品をリサイクルする技術開発に乗り出す。
実験施設は、南幌町南15線西22にある南幌工業団地の敷地3300m²を建設地として選定。太陽電池モジュールの約8割はガラスが占めることから、同じ団地内にあるJWガラスリサイクル(本社・東京)の南幌工場と連携できるとし、決めた。新施設の規模や施工業者は未定としている。
トクヤマによると「北海道で太陽電池モジュールのリサイクル専用施設はまだない」と説明する。技術が確立されれば、本道を拠点に事業化を進める考えを持っているという。
南幌町での道外企業の進出は石材卸などを展開するいずみ産業(本社・千葉県我孫子市)に次いで20年ぶり。
同町担当者は「実証実験がうまくいけば研究施設を増築し、本格的に事業を展開すると聞いている。そうなれば雇用も生まれるのでは」と期待を寄せる。
固定価格買い取り制度(FIT)の開始とともに急拡大した太陽光発電事業では、FIT以前の設備と合わせた導入量が18年9月時点で7730万㌔㍗に達した。国は19年度、買い取り期間の終了に伴い、将来的に膨大な発電設備が大量に廃棄されることを見据え、処分費用の積み立てに向けた制度設計に着手している。