札幌市 賃貸オフィスビル建設の補助制度創設へ

2019年10月29日 15時00分

 札幌市は、企業誘致の促進を目的に賃貸オフィスビル建設の費用補助制度を創設する方針だ。都心は、賃貸オフィスビルの需要が底堅い半面、供給が不足傾向にあり、新規進出や事業拡大の課題となっている。他都市を参考に検討を進め、補助をオフィスビル誘導につなげる考え。2020年度の運用開始を目指す。

 市は企業立地を促進するため、工場やICT、バイオ関連企業、コールセンターやバックオフィスの立地を支援する各種の補助制度を展開。これまで新設171件、増設80件の251件を誘導してきた。

都心ではビル建て替えが活発化している(写真は札幌駅前通)

 ここ数年は都心立地の多いIT関連やコールセンターを中心に、条件に合ったオフィスの供給が不足し、新規進出や事業拡大の課題になっている。

 企業誘致を担当する市経済観光局は、都心のビル建て替えが活発化していることを踏まえ、一定の条件を満たすオフィスビル建設を費用補助することで、建物更新に合わせたオフィス誘導を図る方針を固めた。「可能な限り早く補助制度を構築したい」とし、20年度の運用を見込む。

 指定都市では、横浜市が1フロア1500m²以上、合計2万m²以上などの条件をクリアした賃貸オフィスビル建設を対象に、投資額の8%を補助する制度を設けている。こうした事例を参考に制度を検討する考えだ。

 オフィス仲介の三鬼商事の調査によると、市内都心ビジネス地区のオフィス空室率は19年9月で平均2.4%。17年ごろから2%台の低い水準が続いている。

 不動産鑑定評価、調査を手掛ける日本不動産研究所の妙摩健一郎北海道支社長代理は「経済が現状を維持すれば、オフィスの不足傾向は今後も続く」と指摘。「札幌都心のビル所有者は個人や中小企業が多く、(規模を拡大する)容積率の緩和だけでは誘導は難しい。建設費補助は、こうした層の選択を後押しするメニューになる」と分析する。 

(北海道建設新聞2019年10月29日付10面より)


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