あらゆる工事を支える〝巨大モール〟に
「新中計は持続可能な成長基盤を構築するのが大きな柱の一つで、本当の意味での〝ゼネラル・レンタルカンパニー〟を目指したい。総花的な百貨店のような話ではなく、専門店がいくつも集まって巨大モールを形成するイメージだ」(金本哲男社長)。
油圧ショベルや高所作業車、発電機、ポンプといった保有商品の種類や数を増やしてさまざまなニーズに応えるだけでなく、基礎工事やトンネル工事などの専門性を備えることで、付加価値の高い建機レンタルを提供する。
これまで業界では、道路工事や高所作業に強かったり、建築や土木に特化した企業があるなど一定程度のすみ分けが進んでいた。カナモトは、そうした専門性を社内の各部署に落とし込み、巨大なレンタルモールを築こうと考えている。
ゼネラル・レンタルカンパニー構想は社内で素地があった。首都圏を中心にスーパーゼネコンに対して提案営業している広域特需営業部だ。06年5月に発足した部署で、当時営業統括本部長だった金本社長の肝いりでつくられた。
当時について、金本社長は「地方でどんなに頑張って営業しても、東京発の大型案件は本州のレンタル会社に押さえられていて、なかなか仕事を取ることができなかった。地方で情報をつかむことに限界を感じていた」と振り返る。より会社が発展するには中央の人脈づくりが肝心と考え、専門部署を立ち上げることにした。
40人で組織する広域特需営業部はプロジェクト案件の情報収集やコンサルティング営業、エンジニアリング機能や技術ノウハウの取得などを仕事としている。課は広域営業と地盤改良、基礎機械、特需の4つで構成。うち特需課はi―Constructionに関連したドローンやロボットなどを開発するニュープロダクツ室との連携を深めるため、2月に新設した。
渡部純部長は「広域特需営業部は各地区の営業拠点を援護するのが目的のため、売り上げを直接上げられる組織ではない。大型事業に向けた仕込みと機械・工法などの研究が主な仕事」と説明する。
羽田空港としては4本目となった07年のD滑走路建設は、鋼管杭1500本を打つために、国内ではなかった80㌧級のバイブロハンマーを用意した。11年の東日本大震災では、アーム長62mの大型コンクリートポンプ車を調達し、福島第1原発の放水作業に貢献した。
こうした仕事ぶりが評価され、本州のさまざまな大型プロジェクトに関われるようになってきた。最たるものが東京五輪・パラリンピックだ。新型コロナウイルス感染症の影響で開催は1年延期となったが、放送センターの資機材設営や合宿施設の照明などで仕事を請け負っている。
渡部部長は「ここ数年のM&A(合併・買収)でグループ規模が大きくなり、舗装のユナイト、シールドの東洋工業、基礎のKGフローテクノと専門部隊を持てるようになった。こうした専門部隊を今後も多くつくりたい」と意欲を示す。
(北海道建設新聞2020年5月1日付2面より)