ヤマハ跡やパークホテルなど
札幌市中央区の中島公園周辺で再開発の芽が出始めている。ヤマハセンター跡地の利用を勘案し売却先を探るヤマハ(本社・静岡)は、高級ホテルと商業の複合施設案を提案者から受けているほか、札幌パークホテルを保有する不動産業のサンケイビル(同・東京)は、大規模国際会議場の整備と併せたホテル建て替えについて札幌市と協議を進める。国際会議場の整備が実現すれば、多くの訪日外国人の誘致につながるだけに、エリア周辺の開発にも弾みがつきそうだ。
地下鉄南北線中島公園駅に近く、敷地面積約6700m²ある中央区南10条西1丁目のヤマハセンター跡地の利用動向が注目されている。札幌都心部では近年、ホテルを中心に開発が相次いでいるが、小規模な敷地での新設にとどまっており、まとまった土地は貴重といえる。
敷地を保有するヤマハは、事業効率化などを図るため、札幌を含む4つの事業所を13年に閉鎖し、東京と大阪に営業拠点を集約。同センターは閉館し、16年に解体を終えて更地となった。その後、跡地利用に関し、適切な売却先を求めて道外の不動産業者を介して各社から提案を受けているようだ。
同社は提案内容を明かしていないが、関係者によると「グレードの高いホテルや商業などを盛り込んだ複合施設の案がいくつか挙がっている」と言う。中島公園を囲むようにホテルが集中する好立地の物件だけに、周辺も含めた開発につながる可能性も高いとみる。
ただ、さまざまな提案がある中、売却先を決める時期についてヤマハの担当者は「近々で決まるようなものではない」と話しており、まだ時間を要する見通しだ。
一方、ヤマハセンター跡地沿いの豊水通を挟んだ西側には札幌パークホテルがあり、老朽化に伴う建て替えの計画が浮上する。ホテルを保有するサンケイビルは昨年、建て替えに関して市に相談。その中で敷地内に大規模国際会議場を整備する案を提案したようだ。
市は5000人超が参加する大規模な会議を単独開催できる施設がないことや、ニトリ文化ホールが18年度で閉館することを課題に挙げる。当初、中央区北1条西12丁目にあるさっぽろ芸術文化の館跡地を国際会議場の候補地に位置付けていたが、中島公園に隣接し、ススキノといった繁華街にも近いことなどから、2案を比較した上でどちらかに絞り込むとしている。
中島公園周辺では、既存ホテルを国内外の企業が取得してリブランドオープンするなどの動きが目立ち、投資対象としても注目される。
不動産動向に詳しい日本不動産研究所の担当者は、パークホテルと併設した国際会議場の建設が決まると「宿泊施設やレジャーへの波及効果は大きい」とし、周辺エリアへの開発の後押しにもつながるとみている。
(北海道建設新聞2017年03月01日付2面より)