24年度着工、26年度運転を構想
室蘭洋上風力関連事業推進協議会(MOPA)は9日、室蘭市内で開いた定例意見交換会で、室蘭港祝津地区の港湾区域内に国内最大規模となる9・5㍗級の洋上風力発電施設4基を誘致する構想を公表した。室蘭港に集積する産業基盤を生かし、洋上風力関連施設の製造拠点化を加速するのが目的。2024年度の着工、26年度の商用運転開始を想定している。
協議会は昨年設立。電材ホールディングスの野村隆志社長を会長とし、正会員20者、賛助会員16者、オブザーバーの胆振総合局で構成する。港湾施設を中心に産業基盤が集積する室蘭を風力発電の拠点とするため、関連産業や発電事業の誘致に取り組み、室蘭港を国が指定する海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾とすることも目指している。
室ガス文化センターに集まった関係者80人を前に野村会長は「数年後には加速度的に事業に実感が持てるようになると確信している」とあいさつ。来賓の堀井学衆議院議員は「党派を超えて努力したい」、山岡達丸衆議院議員も「室蘭が洋上風力の適地であることを発信する」と約束した。
続いて、上村浩貴理事長(電材エンジニアリング社長)がMOPAの事業を紹介し、室蘭港祝津地区の港湾区域内への洋上風力発電施設誘致構想を説明。1基当たりローター直径174m、ハブ高さ110m、出力9・5㍗の規模で、最少2基、最大4基の設置が想定されていることを明らかにした。
また、洋上風力発電の基地港湾であるドイツのブレーマーハーフェンやデンマークのエスビアノの2港の取り組み事例を解説した。
この後、川崎近海汽船、極東貿易、East Winds Asia、日本郵船、JFEスチールの5社がプレゼンテーションし自社の取り組みや技術、サービスなどを提案した。
川崎近海汽船はカーボンニュートラルの取り組みとして水素運搬船の運航支援を挙げ、洋上風力発電向け作業船事業を担う子会社ケイライン・ウインド・サービスについても説明。極東貿易は洋上で作業船から人員や物資を風車、他船へ安全に移すギャングウェイ(舷てい)や海底掘削装置などをPRした。
East Winds Asiaは、ジュストゥス・シューマッハ社長が登壇し、2万㌧以上を積める大型台船を使ってモノパイルやトランジッションピース、ジャケットなど洋上風力発電施設の基礎となる重量構造物を輸送する同社のサービスを説明した。
(北海道建設新聞2021年7月13日付11面より)