過半数が新築 原因は溶接が出火最多、火花飛散防止を
札幌市消防局によると、2012―21年に市内の建築現場で発生した火災は36件に上る。うち新築現場での火災が過半数を占め、出火原因は溶接作業が10件と最も多かった。同局は火花の飛散防止に努めるなど対策を講じながらの作業の徹底を呼び掛けている。
10年間の火災発生件数の内訳は新築20件、改築・改修6件、解体5件、補修・改装などその他5件となっている。
出火原因別では、溶接作業10件、放火6件、電気関係7件、ストーブ2件、その他・不明11件。
事例を見ると、耐火造、3階、延べ約2500m²の倉庫の2階で溶断作業中、溶滴が飛び、壁の断熱材に着火。耐火造、4階、延べ約500m²の共同住宅での作業中、積んでいた段ボールが崩れ、使用していたジェットヒーターに接触し段ボールが発火したケースなどがあった。
同局は、溶接作業の火花を完全に防ぐことは不可能な上、作業機会も多いため、溶接作業での出火が多いと分析。火災予防策として、作業時には火花の飛散防止や消火設備の準備、作業者以外による監視などがある。
7日付で、同局は建設・解体工事などを請け負う事業者の関係団体にこれら予防対策をまとめた注意喚起の文書を送付。あらためて対策の徹底を要請した。
21年の市内全体の火災件数は、前年と比較し7件増の383件(速報値)。15年から年間30―40件減少するなど近年減少傾向にあったが、21年は増加に転じた。
出火原因別では、電気関係による火災が最多。18年から4年連続で出火原因1位となっている。また、灯火による火災が10件で、前年に比べ8件増と大きく増加した。同局予防課の担当者は「不安定な状態で仏壇用ろうそくやアロマキャンドルなどを使用していないかいま一度確認を」と話している。