丈夫・移設可能、宿泊にも 攻めの商品で経営強化
上田商会(本社・登別)は、コンクリート製のサウナ用筐体(きょうたい)「CUBERU(クベル)」を開発した。高い耐久性やデザイン性が特長。高さと幅が2300mmの立方体で、大型トラックで運べるよう重さは9.5tに抑えた。丈夫で移設可能なモバイルユーティリティーボックスとして宿泊スペースやイベント店舗など幅広く使ってもらいたい意向だ。
ボックスカルバートなどコンクリート製品の製造ノウハウを生かし開発した。10tトラックで運搬できるよう、壁の厚さを150mmに設計し重量9.5tを確保。サイズは高さと幅が2300mmで、最大6人を収容できるよう奥行きのみ2550mmに設定する。クベルにはCUBE(箱)とRU(動詞)を合わせた造語のほか、薪などをくべる(燃やす)の2つの意味を込めた。
コンクリート製のため耐久性に優れ、シロアリや暴風の影響を受けないことが特長。1925年創業のコンクリート会社が積み重ねてきた信頼性も強み。土木や建築工事を必要とせず、造成された宅地や庭など地耐力のある土地なら最短1時間で設置できるという。
専用型枠を使った継ぎ目のない作りで気密性が高く、サウナとして使用する場合は温度を維持しやすい。宿泊スペースとして活用する場合は冷暖房のエネルギーが逃げにくいため、高い省エネ効果が期待できる。
価格はコンクリート筐体のみで180万円。ガラスサッシや内装造作、吸排気を施した一体型は340万円(いずれも税抜き)。サウナ用として使う場合は電気ストーブか薪ストーブが別途必要になり、同社ではフィンランド・HARVIA製の電気ストーブ「CIRINDRO6」を推奨する。
製品第1号は十勝サウナ協議会のお膝元である新得町の温宿くったり温泉レイクインに設置した。サウナで体を温めた後、水風呂代わりに凍った湖に入るフィンランド発祥の〝アヴァント〟を楽しめる施設。クベル内には道産スギの心地よい香りが広がり、HARVIA製の電気ストーブが体をすぐに温めてくれる。
既存の土木や建築に加え、サウナなど追い風になっている市場に向けて攻めの商品開発をすることで、経営体質を強化するのが狙い。1次の生コン、2次のコンクリート製品、3次のモバイルユーティリティーボックスと事業を定着させたい考えだ。
上田朗大社長は「クベルに対し、さまざまな形で利用価値を見付けてもらえればうれしい」と話している。