帯広などの地価上昇受け
十勝で値頃感のある家を建てたい―。ファミリー層の人気が高まり、芽室町の2022年1月1日時点の地価公示は平均変動率3.1%プラスと2年連続で上昇した。帯広市、音更町、幕別町で続く地価上昇を背景に、交通の利便性が高く、値頃感のある芽室町にマイホームを建てる流れが強まりつつある。
芽室町は国道38号を真っすぐ走ると簡単に帯広市と行き来でき、JR芽室駅や2カ所の高速道路ICがあり、交通の利便性が高い。帯広市西19条北工業団地から芽室東工業団地は近く、通勤にも便利だ。
住宅需要が高まる要因として、不動産評価コンサルタント(本社・帯広)の合田修鑑定士は「若い世代にとって値頃感と便利な立地は魅力的。芽室町では年間を通して20―30区画程度の潜在需要がある」と見る。
十勝で平均的な収入の子育て世代は、土地と建物の総額を3000万円程度に抑えることが多い。これまでは帯広市で予算的に厳しければ、そのほとんどが音更町木野や幕別町札内に流れていた。
しかし、住宅需要の逼迫(ひっぱく)が続いた結果、音更町と幕別町の地価が上昇。音更町緑陽台南区3の76など人気エリアは10%台の上昇を記録し、コスト面で折り合わなくなった。地価に値頃感のある芽室町は、ファミリー層の貴重な受け皿となっている。
十勝でも人口減少を背景にコンパクトシティ化を見据えた町づくりが進む。好立地であっても、宅地拡大は難しいのが現状だ。1月に芽室町が実施した市街地の町有地売却では、全4区画の買い手が決まった。特に注目度が高かったのは、中心市街地にある東3条2丁目17の1。最低売却価格の226万2000円を大きく上回る805万円で法人が落札した。
住居への価値観が変化し、庭を必要としない人が増えたことから、ハウスメーカーは広めの宅地を分割し、総額を抑える戦略を続けてきたが、ウッドショックで建設コストの高騰が顕著となった。ロシアによるウクライナ侵攻や長期化するコロナ禍で、さらなる資材価格高騰が危惧される。より安価な土地へ流れることが予測される。
国道38号沿いには、スーパーなど大型店舗が立ち並んでいる。町外からの需要にも応えるため商品の回転率が高く、充実の品ぞろえが魅力だ。十勝は車社会のため15㌔程度の移動は日常生活で問題になりにくい。
人口減少が続く中で、長期的な地域の発展には子世代の定着が鍵となる。十勝は地元への愛着が強い地域。生活必需品に加え、生活の質を高める娯楽を充実させるなど、住みよい町づくりが求められる。