政府は12日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの追加制裁として、木材を含む38品目の輸入禁止を決めた。個人398人と28団体の資産凍結も実施する。岸田文雄首相が先に表明した制裁措置を具体化し、先進7カ国(G7)と足並みをそろえた格好だが、今回の措置が日ロ両国の経済に及ぼす影響は限定的と見られる。道内企業は慎重に状況を見極めることが必要になりそうだ。
政府はこのほか、ロシアの最大手銀行ズベルバンクと、民間最大手のアルファバンクの2行を資産凍結対象に決定。5月12日以降はロシアへの新規投資を禁止する措置も講じた。
禁輸は主に機械・電気機械類やアルコール類などで、19日に施行する。一連の対ロ制裁で輸入禁止に踏み切るのは初めて。ただ、既存の契約分は3カ月間、対象外とする。機械類は28品目と7割強に当たるが、このうち2021年の輸入額が1億円を超えたのは自動車など4品目で、小口取引が大半を占める。
木材についてはロシア側が3月10日までに「非友好国」向け輸出を禁じた単板、丸太、チップ類の計4品目が対象。経産省の担当者は「実際には輸出禁止が実行されていないケースがあった」とした上で、「改めて輸入禁止措置を取ることで日本の姿勢を明確にする」と説明する。
今回の措置によって、一部ロシア材が入らない状況が固定化された。北海道開発局の道路部門では、現時点で現場からの声は出ていないものの、コンパネを使う型枠材に影響が出る可能性は拭えない。担当者によれば木材の納期遅延が生じれば、工期変更などで柔軟に対応するという。
宗谷管内の地場ゼネコン経営者は「管内でロシア材の使用は聞かない」と冷静だ。一方、空知管内の業者からは「プレカットはほとんど輸入材を使っているため影響は避けられない」といった懸念の声も上がる。今後の推移から目が離せない。