ブルーカーボンを検討
苫小牧港管理組合は1月31日、苫小牧港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画案を公表した。2050年のカーボンニュートラルを達成するため、港湾オペレーションの脱炭素化や水素、燃料アンモニアなどのサプライチェーン拠点構築を進めるほか、ブルーカーボンについても検討。各方面で取り組みを進め、環境価値で世界から選ばれる港湾を目指す。
①北海道・北日本への次世代エネルギーの供給拠点②わが国の次世代のエネルギー備蓄拠点③カーボンリサイクルコンビナートの形成―を苫小牧港の将来像に掲げた。計画期間は50年までとする。
計画の対象範囲は①公共ターミナルでの施設管理や事業活動②公共ターミナルを経由して実施する海上輸送やトラック輸送、倉庫などの物流活動③港湾を利用して生産・発電などに取り組む臨海部立地事業者④その他―としている。
30年度に13年度比48%の温室効果ガス削減を目標とする。目標達成に向け、ターミナル内で照明LED化や上屋屋根への太陽光パネルの設置、RTG(タイヤ式門型クレーン)全6基のうち残る2基のHV化、ホイールローダ全8台のHV化などを計画。出入り船舶や車両については、フェリー船の液化天然ガス(LNG)燃料転換として2隻が25年度に竣工予定のほか、中央北・周文の新規岸壁整備を進めることで滞船の解消やトラック走行距離の短縮につなげる。ブルーカーボンについても23年度以降に調査する予定だ。
ターミナル外では経年化した石油火力発電所の運転停止やプラント更新時の高効率機器の導入、バイオマス燃料への転換などを計画している。
水素、燃料アンモニアなどの供給目標や計画は、30年までにガス火力への30%水素混焼や水素専焼、石炭火力への20%アンモニア混焼の導入・普及を目指す。
水素は6000㌧、燃料アンモニアは121万tをそれぞれ年間需要量と推計。これらの供給施設の配置・整備に向けて西港区の既存インフラ活用や東港区の新規岸壁整備などを検討する。
ロードマップの主なものを見ると、石炭火力発電所での燃料アンモニア混焼は23―24年度に調査・検討、25―28年度に設備改修、29年度に実証試験を計画。燃料アンモニア供給施設の配置・規模の検討では23―25年度の調査・検討、26―29年度の施設整備、30年度の受け入れ・供給を目指す。
CCUS(CO₂回収・有効利用・貯留)については、商用化へ23―27年度に調査・検討し、28―30年度にパイプラインなどの施設整備を想定している。
管理組合は、計画案について3月1日までパブリックコメントを募集している。