買い物をしているときに飲食料品の前でしばし立ち止まり、買おうか買うまいか迷うことが増えた。値段のせいではない。量である。一つでも多すぎるのだ
▼悲しいかな、これが老化というものか。歳を重ねるにつれ飲み食いできる量が減った。飲みたいし食べたいけれども、こんなにはいらないとなるわけである。たまに思い切って買ってみると案の定。半分ほど食べたあとは、冷蔵庫の肥やしになっていたりする。メーカーがそんな市場動向を見逃すはずがない。日本コカ・コーラが2020年に350mℓペットボトルを出してきたのはさすがだった。狙いは大当たり。500mℓは飲みきれないと敬遠する人も多かったのだろう。最近はどんな商品にも、こうした最適化の傾向が見られる
▼ただこれほど大きな商品となると、実現は難しかったのでないか。札幌ドームが内部を暗幕でおよそ半分に区切り、小分けして貸し出すことにしたそうだ。14日、報道陣にその「新コンサートモード」を現地公開した。本塁側と一、三塁側の三方に暗幕を張り、外野席側に2万人規模の会場を設けようというのである。北海道日本ハムファイターズ本拠地移転の穴を埋めるため、以前から検討が進められていた
▼5万人規模の催しはそうそうない。小分けして料金を抑えるのは妥当に思える。とはいえ音響効果も座り心地も良くはない会場で2万人規模の音楽イベントをどれだけ開けるか。勝負はこの先の売り方とサービスにかかっていよう。350mℓペットのようなちょうどよさを顧客に実感させられるかどうか。