「環境と経済の循環」、「温暖化対策」を両輪で
宗谷管内の植樹活動に取り組む「北のてっぺん緑化プロジェクト」は、2005年度の活動開始から19年目を迎える。宗谷総合局と稚内市内の再生可能エネルギー誘致に関わった稚内新エネルギー研究会などが中心となり展開。本年度で稚内公園のスキー場跡地全面の植樹が完了する見込みで、今後の活動についても前向きだ。(稚内支局・中村謙太記者)
05年に個人会員130人と40団体で設立した稚内新エネルギー研究会。商工会などと共に、「風と燃料電池で築く環境最先端のまちづくり」プランや、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施したメガソーラー発電の実証実験誘致に関わってきた。
研究会は08年に経済産業省資源エネルギー庁主催の「新エネ大賞」で新エネルギー財団会長賞を受賞している。水素自動車のデモンストレーションを行ったり、環境教育施設「風のがっこう稚内」で、風力・太陽光を利用した水素製造に取り組むなど、新エネルギーを核とした先進的な活動が評価されたからだ。
環境と経済の循環を目指す取り組みとともに、地球温暖化対策への活動を進める観点から、宗谷管内の森林を育てる計画を考案。研究会や宗谷総合局などを構成員とした実行委員会を中心に、05年度から植樹を始めた。
これまでに宗谷ふれあい公園や稚内公園のスキー場跡地などで植樹や保育活動を実施。成長の早いヤナギを苗木の周りに植え、風よけとしたり、エゾシカに食い荒らされないよう柵をこしらえるなど、風が強く木が育ちにくい管内でも緑化が進むよう工夫を凝らした。
22年度は36人が植樹に参加。40人以上が参加したこともある。宗谷総合局の担当者は「これほど長く活動が続いたプロジェクトはほとんどない」と語る。この18年間でミズナラやエゾマツなど7124本を植樹。植樹面積は1・56haに上る。
石塚英資会長は「今後は植えるだけでなく管理することも必要。長いスパンで活動を続けられれば」と前向きだ。今後は木についての出前講座を開くなど、地域住民に関心を持ってもらえる活動も考えたいとしている。
23年度は稚内公園のスキー場跡地で植樹活動などを計画。これで跡地ほぼ全面で植樹が完了予定だ。