北大通など活性化を 釧路公立大に理系新学部創設も期待
JR釧路駅周辺の再整備計画で、経済界からは釧路公立大での理系学部新設を含め、教育施設の誘導を望む声が上がっている。デジタルや脱炭素といった成長分野と、釧路の基幹産業である水産業を掛け合わせた学部の誕生による新たな企業の創出などを期待する。駅周辺に研究開発拠点を集積することで、北大通や共栄新橋大通の活性化に弾みをつけたい考えだ。
釧路市は駅高架化を見据え、人を中心としたまちづくりでにぎわいの再生を目指す。駅北側の共栄新橋大通と南側の北大通を人や自転車が通行できる道路で結び、周辺にマンションや生活利便施設、公共施設の誘導を構想している。
3日、市内で開かれた釧路根室圏まちとくらしネットワークフォーラムで、宮田昌利座長(サンエス電気通信社長)は人口減と日本の理系人材の少なさを懸念し、国の支援制度を紹介。文部科学省は1月、デジタルや脱炭素など成長分野の人材を育成するため、私立・公立大での学部新設、理系への学部変換を支援することを表明。3000億円の基金を活用し、10年間で250学部の設置を目標とする。
宮田座長は「釧路の価値は港、空港、鉄道に加え、水産業や漁業、周辺産業の長年の蓄積があること。釧路公立大にIT・DXを学べる水産情報学部が誕生すれば、市民意識向上やスタートアップ企業の創出を見込める」と期待する。
釧路商工会議所の杉村荘平地域開発委員長(拓殖不動産社長)は、釧路公立大での理系新学部創設の必要性を説き「駅周辺に研究開発拠点やサテライトキャンパスができれば、中心市街地の活性化につながる」と述べた。
不動産鑑定士で釧路倶楽部合同会社の湯城誠代表は「30年後に人口は10万人を切る。何もしなければ消滅する危機感を持たなければならない」と呼び掛けた。駅周辺のまちづくりについて、高齢化が進み除雪の負担が少ない分譲マンションの需要が高まると予想。スターバックスのようなナショナルチェーンを誘致し、モール化して人を呼び込むべきと強調した。「釧路高専、道教育大付属義務教育学校は完成から50年がたつ。建て替える場合は現地ではなく、高架化に伴い区画整理された土地を活用してもらいたい。教育機関を駅周辺に集積し、若い人が集う空間にすべき」と提案した。