南建設(本社・網走)は、網走開建から受注した工事の現場で、フリーWi―Fiサービスの無償提供を始めた。工事評価の中で、地域貢献の項目に対応できると勘案。現場が網走刑務所に近いことから、海外からの来訪者を含めた観光客への「おもてなし」として中継通信設備を設置した。今後、現場周辺の観光地を記した看板も設置する考えだ。
この取り組みは、網走市大曲の「網走川応急対策事業のうち鏡橋上流右岸特殊堤補修」(工期5月15日―2016年2月22日)現場で実施している。共成レンテム(本社・帯広)を通じて臨時光回線と中継通信システムを用意。6日から提供を始め、11月まで展開する計画だ。
システムはネクステック(本社・札幌)が開発した「ポジモ」を採用した。ポジモは無線LAN、太陽光発電パネル、蓄電池を一体化した中継通信装置で、無線LANアクセスポイントとして機能する。外部電源や配線工事を伴わない簡易な据え付け性を有し、災害現場やイベント会場などでの無線LANネットワークを迅速に構築できる。
システムは製品同士が連係し、複数の製品を使うとバケツリレー式で無線通信エリアを拡張できるが、今回は機器の設置位置から約70―100mの範囲に絞り、同サービスを利用できる環境とした。
南建設は「工事評価の中で、地域貢献として提出しようと思っている。これまでも地域貢献に相当する取り組みを模索していた。今回、たまたま現場が観光地に近かったので思い付いた」と話す。日本を訪れた外国人観光客が不満に思っている同サービスの不足に応じ、地元の観光に寄与することを期待している。
現場には、既に観光客に配慮したA4判サイズで周辺の観光情報も掲示しているが、「もっと目立って分りやすいように地図上の案内看板を設置する」(同社)予定だ。
今回の取り組みは、「観光客の利便性向上だけでなく、現場で働く私たちも役立つ」とし、工程管理に必要な天気予報など、ICTによる情報収集をスムーズにする、業務上の効果も狙っている。