登別市は、登別温泉地区のホテル・旅館1棟が実施する耐震改修工事費の一部として1億1095万円を補助する。民間大規模建築物の耐震改修に対し、自治体として工事費を補助するのは道内で初のケース。今回の改修総額は4億7000万円が見込まれ、市は4定補正予算案に、23%分に相当する補助金を盛り込んだ。
国は2013年に施行した改正耐震改修促進法で、1981年5月31日以前に着工した3階建て以上かつ延べ5000m²以上の病院、店舗、ホテル・旅館などの大規模建築物に対し、15年末までの耐震診断実施と結果報告を義務付けた。
市はこうした動きを背景として、14年4月には耐震診断費の補助を、15年4月には耐震改修設計費の補助を制度化。このほど、耐震改修工事費の補助制度も創設した。
診断、報告を義務付けられたホテル・旅館のうち、診断結果で耐震性を満たしていないと判断され、16年3月31日までに補強設計に着手したものが対象。市が国と道からの間接分を含めて23%、国が直接21.8%を充当し、55.2%は事業者側の負担となる。
登別温泉地区にあるホテル・旅館のうち、義務付け対象は6棟あるが、現時点で事業者名と施設名は非公表。このうち1棟が診断と設計を終え、事業者側も改修の意向を固めたため、補助の実施に踏み切る。全額を繰り越し明許設定し、スケジュール通り進めば16年2月の着工を見込む。
道内では耐震診断や耐震改修設計への補助制度を持つ自治体は増えているが、このような大規模建築物の耐震改修工事に対する補助制度を設けているのは現状で登別市のほか、札幌市、函館市、音更町の4市町のみとなっている。