平取町が木質バイオ事業を本格化-熱供給公社設立目指す

2016年01月25日 19時12分

 平取町は、木質バイオマスの導入に本腰を入れる。目玉は、第三セクターの木質バイオマス熱供給公社設立で、10年後をめどに実現を目指す。同町は2015年度、国の関係7府省が共同で取り組むバイオマス産業都市に選ばれたことから、国の補助金も活用して事業を推進。町内の豊富な森林資源活用を図りつつ、資源の地産地消による域内経済活性化を目指す。

 同町は面積の約85%を山林が占め、935万㌧の森林資源が存在するとされる。だが、主要樹種のカラマツは20年までに多くが伐期を迎え、再造林の推進や森林資源の活用が課題。製品にならず山林に放置される林地残材も、年間6434㌧に上ると推計されている。

 町は家庭用ペレットストーブの購入助成などを実施してきたが、豊富な森林資源を生かした産業構造を構築しようと、15年7月にバイオマス産業都市構想を策定した。

 それによると、町が一部出資する第三セクターとして、10年後を目標に木質バイオマスの熱供給公社を設立。公社は町内業者が製造した木質バイオマスを集約してボイラで燃焼し、配管で各地へ暖房熱源を供給する。低コストで扱いやすいチップを主に使用し、保管場所は旧貫気別中を想定している。

 ただ、公共施設や住宅が点在する町内で広範囲への供給は困難なため、当面は約3000棟が集積する荷菜地区の農業ハウス群に絞る方針。ボイラ設備導入には約8億円を見込んでいる。

 農業は町の代表的な産業で、中でもトマトの生産が盛ん。だが、通年栽培のために冬はハウスで灯油ボイラを使うため、燃料費がかさむ。安価な残材で製造できる木質バイオマスを活用することで、農業従事者の経済的負担の軽減を図る。

 これにより林業と農業の連携が進むほか、町内で資源の確保から消費までを一貫するため、域内の経済循環促進を期待。熱供給事業で2人、関連事業で5人の新規雇用も見込む。熱の需要は冬に偏るため、将来的には電力供給についても視野に入れている。

 これらの取り組みと並行して、町が事業主体となる太陽光発電設備設置も計画。二風谷地区のびらとり温泉付近が設置候補地で、売電してバイオマス事業の資金を補う。モジュール4080枚、設置容量757㌔㍗の規模で、事業費は送電線を所有する北海道電力の負担金変動によるが、現時点で約3億円を試算。10年間で約2億2000万円の収益を見込んでいる。地域の自立分散電源として、防災機能の強化にも役立てる。

 構想にはこのほか、町内を縦断する沙流川流域を軸としたコンパクトなまちづくりの視点も盛り込んだ。効率的なエネルギー供給に向け、今後の人口減少も想定して公共施設の集約や分散集落の統合を推進するとしている。

 16年度は事業の前段として、町内で木質バイオマスの大口需要を創出するために役場本庁舎など主な公共施設で率先してバイオマスボイラの設置を進める。国保病院では、17年度に予定する改築を機に導入する方針だ。


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