北海道建設新聞社は、2015年度第3四半期末(4―12月)のゼネコン道内受注高ランキングをまとめた。岩田地崎建設が339億600万円で唯一300億円台に乗せ、3期連続の首位となった。鹿島が2位、清水建設が3位に入った。上位50社の受注額は計4022億5300万円で3年連続の4000億円台だが、前年度同期を10.9%、494億円下回っている。官庁土木が3割、官庁建築が2割それぞれ減少した半面、民間建築が盛り返した。全264社の平均受注額は23億9700万円。前年度同期より14.1%減少し、12年度の水準に戻った。
上位10社は道内企業が4社にとどまり、本州大手が4社、同準大手が2社の内訳。前年度同期と比べると、2社が11位以下から進出した。
首位の岩田地崎建設は、第3四半期としては2年ぶりに300億円台を突破し、07年度に調査の集計方法を暦年から年度に変更して以降、最高額を記録した。民間建築の受注額が1位の208億円と過去最高となったのが要因だ。共同体メーンで泊共和線国富2号トンネルや229号新美谷トンネルの新設、札幌医大付属病院増築2工区、札幌市西2丁目地下自転車等駐車場整備を落札し、単独で啄木亭増改築などを上乗せした。
鹿島は249億6100万円で、上半期(4―9月)と同じ2位。仮称・新道央郵便処理施設新築が貢献し、官庁建築が前年度同期の2・5倍の86億円となり、初めて1位となった。主な新規受注は、さくらインターネット石狩データセンター3号棟新築や北海道循環器病院第3期増改築、旭川十勝道路北の峰トンネル掘削の設計変更がある。
3位の清水建設は第3四半期に全社中最多の100億円を上乗せして199億4200万円とし、上半期の8位から3位に浮上。共同体メーンの40号音中トンネル掘削のほか、函館江差自動車道新亀川大橋上部、ニプロ札幌ビル新築、札幌競馬場調教助手寮整備などを積み上げ、官庁土木と民間建築が急増した。
大成建設は155億1000万円で、上半期と同じ4位となった。能美防災札幌ビル新築などで民間建築が115億円で3位。このほか、共同体メーンで札幌医大付属病院増築1工区を落札している。
大林組は155億100万円で上半期の6位から5位に上昇。49億円を上積みし、大半を占める民間建築で2位につけている。函館大沼プリンスゴルフコース共用クラブハウス新設が主な物件だ。
6位の宮坂建設工業は154億6800万円。民間建築が3年連続で100億円台を突破している。十勝川改修統内下流河道掘削など官庁土木でも健闘した。
7位の岩倉建設は148億200万円で、同社としては過去最高額を記録した。官庁土木が相変わらず強く3期連続の1位。共同体サブの40号音中トンネル掘削と札幌医大付属病院増築2工区のほか、石狩病院移転新築を単独受注した。
伊藤組土建は141億8500万円で8位となり、上半期から順位を1つ上げた。官庁建築が36億円と3位に入っている。共同体サブの札幌医大付属病院増築1工区や40号音中トンネル掘削、日高育成牧場覆馬場・乗馬厩舎(きゅうしゃ)改築、イムス札幌消化器中央総合病院増改修を加えた。
西松建設は136億700万円で上半期の12位から9位に伸ばした。道新幹線後志トンネル北上沢工区を共同体メーンで落札するなど、官庁土木がゼロから40億円に増額。賃貸マンションの仮称グランドール旭町新築も受注した。
戸田建設は135億4200万円で10位につけた。ANAクラウンプラザホテル千歳新館建設など民間建築が大幅に増えたほか、共同体メーンで札幌市東雁来雨水ポンプ場建設その2を獲得した。
11位以下を見ると、11位の中山組、12位の熊谷組、13位の丸彦渡辺建設までが100億円台。前年度同期に87位だった東亜建設工業が24位となり、山崎建設工業は53位から29位、松本組は75位から35位、奥村組は141位から38位に上昇した。イチケン、北土建設、森川組、植村建設も上位50社に入った。
分野ごとの上位5社は、官庁土木が①岩倉建設②岩田地崎建設③清水建設④熊谷組⑤中山組、民間土木が①NIPPO②鹿島③日本道路④戸田建設⑤鹿島道路、官庁建築が①鹿島②岩田地崎建設③伊藤組土建④岩倉建設⑤丸彦渡辺建設、民間建築が①岩田地崎建設②大林組③大成建設④鹿島⑤清水建設。
内訳は、官庁が26.2%減の1395億4059万円、民間が0.06%増の2627億1240万6000円。割合は官庁の34.7%に対し、民間が65.3%。官庁が補正予算(繰り越し)の減少で後退する一方、民間は札幌市内の建築工事を中心に復調し、プラスに転じた。
土木は24.5%減の1481億6365万4000円で、官庁が28.5%減の1026億4081万3000円、民間が13.8%減の455億2284万1000円の内訳。建築は0.5%減の2540億8934万2000円で、官庁が19.1%減の368億9977万7000円、民間が3.5%増の2171億8956万5000円となった。
上位50社の受注総額は3年連続で4000億円台に乗せたものの、13年度の4657億円をピークに減少傾向を示している。51位以下を含む1社当たりの平均受注額も13年度29億円、14年度28億円と2年連続で減り、アベノミクス以前の水準に戻っている。