北海道生コンクリート工業組合がまとめた2016年度の道内生コンクリート需要予測は、過去最低となった15年度実績(320万3000m³)を0.2%上回る320万8000m³となった。道内全体で官民ともに需要は低調な見通しで、依然として低い水準で推移する見込みだ。(地域別見通し一覧は12日付本紙3面に掲載)
道内各地域の生コン協同組合の16年度需要見通しを集計した。内訳は官公需が4%減の121万8000m³、民需が2.9%増の199万m³。各地では大口需要につながる大型建築・土木工事の新規着工が乏しく、前年度の積み残しが下支えしている状況が目立つ。大型物件があっても、人手不足から工事の進ちょくに不安を覚える地方協組関係者もいる。
最大需要地の札幌は8.7%増の113万m³とした。官公需は東雁来の雨水ポンプ場など数万m³単位で出る大型工事があるものの、全体量としては少なく15.9%減の13万5000m³を見込んだ。民需は創生1・1・1区などの再開発や石狩湾新港LNG基地といった大口需要で13.3%増の99万5000m³になるとした。
西胆振は洞爺公園洞爺湖線の東湖畔トンネルのほか、15年度から続く風力発電関連の工事を当て込み、官民合わせて26.6%増の2万5000m³と明るい見通し。しかし、西胆振生コンクリート協同組合は「トンネル工事の着工時期が見えず不安が残る」と話している。
十勝は5%減の15万m³とした。帯広市周辺は帯広厚生病院移転新築、帯広第2地方合同庁舎新営が始まるなど大型工事が予定されている。加えてTPP対策関連の農業需要も一定度見込む。
ただ大型建築は、複数年にまたがることに加え、「建設業の人手不足から工事が予定通り進むかが不透明」(十勝生コンクリート工業組合)。これを考慮した上で、厳しめの出荷予想を立てた。
北見は0.7%減の11万5000m³。ゼロ国債発注で、ゼネコンの受注金額は積み上がっているものの、土工中心のため生コンを使用する構造物案件はほぼない状態だ。建築は駅前で建設中のホテルルートイングランド北見駅前が工事を継続中だが、このほか民間の大型需要は見えていない。需要の一服感が強く、やや減少を見込んだ。
旭川は、26.7%増の13万9000m³とした。大型物件は旭川医療センターの外来棟新築、駅周辺の道営住宅新築などがある。土木は旭川開建の国営かんがい排水当麻永山用水地区で需要が見込まれる。このほか中規模物件も見えており、比較的明るい状況としている。