自民、公明両党がカジノを中核とする統合型リゾート(IR)推進法案の今国会での成立を目指す中、道内で誘致運動を進める苫小牧、釧路、留寿都3市村がまとめた構想が明らかになった。3市村の建設投資額は最大3513億円を見込む。会期末の14日に法案が成立した場合、3協議会は15日にも仮称・北海道IR推進連絡協議会を設置。道の協力を得ながら、IRを実現するため、誘致、PR活動に積極的に取り組む方針だ。
参院内閣委は13日、IR法案の審議を続行。委員長ポストを握る民進党は採決に応じない姿勢のため、与党は委員会採決を省略し、参院本会議で「中間報告」を行った上で採決することも視野に入れる。与党は、14日中の法案成立が危うくなれば会期の再延長も辞さない考えだ。
道内3市村の構想によると、建設投資額は苫小牧が最も多くて1593億200万円、1126億1300万円の年間売上高を想定している。経済波及効果は、建設時に3029億9300万円、運営時に年間1624億800万円と分析する。
釧路は、阿寒湖温泉地域を対象とし、投資額は最大約740億円で、施設運営時の売上高は約450億円を試算。経済波及効果は建設時に1380億円、開業後でも年間570億円に上る。
留寿都村は、ルスツリゾートの北東部にホテルやカジノ、MICE施設などを整備するIR構想をまとめた。札幌とのアクセスを改善する中山峠へのトンネル掘削などを含め、総建設費は1180億円を試算している。
ホテル部が延べ11万3300m²で投資額543億8400万円、カジノ部が延べ9500m²で45億6000万円、MICE施設が延べ3万1250m²で投資額137億5000万円を見積もる。
別の敷地には、飲食ショッピングスペース延べ3万2800m²、投資額108億2400万円、エンターテインメント施設延べ3000m²、投資額10億2000万円で建設する。村中心部と施設を結ぶモノレールの敷設も予定している。
15日に発足予定の北海道IR推進連絡協議会は、書面により3市村の各推進協議会代表が連名で組織化する。IR誘致を実現させるため、IR構想の協議や策定、誘致に向けた要望やPR活動を行う。
同連絡協議会の活動には、道も前向きで、IR法案が国会で成立した後、別途制定する必要がある実施法案について協議会と情報共有に努め、参加の要請があれば検討するとしている。