道内の大型鉄骨加工物件の先行指標になる札幌共同積算事務所がまとめた2016年(1―12月)の鉄骨積算量は前年を37.8%上回る15万1624㌧となり、2年ぶりに年15万㌧を回復した。過去10年の平均を6%上回り、5番目に高い水準。札幌市内の再開発やホテル新設、物流施設やTPP対策関連の農業施設などで積算依頼が続いた。1月は好調なスタートを切り、鉄骨加工業の稼働は今期も高水準が続く見通し。業界では今秋に加工のピークを迎えると予想する。
北海道機械工業会鉄骨部会の札幌共同積算事務所が受託する積算量は、数カ月から半年、最大で1年ほど先の鉄骨加工量や工事量を予測する先行指標となる。
過去10年の推移を見ると、積算量のピークはリーマンショック前の07年ごろの約20万㌧。その後は低迷が続いていたが13年には15万㌧を回復。15年は11万㌧と一服感があったが、16年は夏以降の積算依頼が堅調に推移し15万㌧台を回復した。
16年の依頼状況を見ると5000㌧を上回る超大型の案件はないものの、1000㌧から3000㌧クラスの比較的大きな物件がコンスタントに続いた。
用途別では札幌市内の都心部の再開発や、観光客増加を背景に新設計画の相次ぐホテルは、S造で建設する100室以下のビジネスクラスが目立った。このほかホームセンター系の物流施設やネット通販に対応する物流拠点施設の建設といった案件も増えている。
15―16年は、TPP対策関連で農業施設も目立った。同事務所扱いではないが、全道的には農業施設や水産系の荷さばき施設も増加傾向にあるという。
17年は1月の依頼が1万㌧以上になる見込みで好調なスタートを切る。札幌駅前や大通周辺の再開発が計画途上にあることに加え、観光客増加を背景に市内のホテル建設も続きそうで、ことしも需要は高い水準を保つ見通し。
加えて、20年の東京五輪開催に関連した首都圏の開発案件が本格化すると「比重が高まっている採算見合いの道外受注物件がさらに増える」(同事務所)とし、17年累計では過去10年のピークに迫る水準に達する可能性もある。
こうした堅調な需要を背景に鉄骨加工業の稼働率は、引き続き高い水準が続く。道内の鉄骨加工業者の稼働率は、主力になるH、Mグレードを中心に冬季も90%から110%と能力いっぱいの稼働が続く。多くは半年先まで受注を抱えており、ことし秋には加工がピークに達する見通し。ゼネコン側にとっては、ことしも加工業者の工程確保に神経を使う状況が続きそうだ。