夕張市が財政再生計画を抜本見直し-46事業に113億円投入へ

2017年02月22日 19時12分

 夕張市は、財政再生計画を抜本的に見直し、2017年度から26年度まで10カ年で取り組む46事業の政策的経費の総額を113億円と算出した。このうち35事業は17年度に着手。市の再生方策に関する検討委員会からの提言や、15年度に策定した地方版総合戦略(15―19年度)を踏まえ事業を盛り込んだ。コンパクト化を推進する市営住宅再編には数十億円、市立診療所の清水沢地区への移転改築には20億円以上を見積もっている。鈴木直道市長は、この見直しをもって実質的に再生団体から脱却する計画とし「10年間止まっていた地域再生の針を動かす」と、実現に向けて決意を示した。

 22日に市庁舎で開かれた市議会行政常任委員会で財務課の芝木誠二課長らが概要を説明した。

 事業は①若者の定住と子育て支援②新たな人の流れ・交流人口の創出③地域資源を活用した働く場づくり④夕張の未来を創るプロジェクト⑤持続可能なまちづくり⑥その他(計画期間内に実施が必要な事務事業)で分けている。

 項目別に主な事業を見ると、①では、認定こども園を旧清水沢小跡地に新築し、20年度の供用開始を目指す。総事業費は6億円強を見積もる。若年層・女性向け民間低家賃住宅の建設促進には17―19年度で1億4400万円を充てる。

 ②では、石炭博物館の大規模改修に約5億円。17年度は展示の見直しも含めた博物館本体の改修を進める。③では、炭層メタンガス(CBM)の開発支援・活用研究の総事業費に約5000万円、夕張メロンの安定生産に向けた基盤整備に、17―19年度で4000万円、市有林を活用した薬木産地化に17―18年度で約5000万円を措置。

 ④では、夕張高校の魅力化や小中学校のスキー事業支援に取り組む。⑤では、清水沢地区に建てる拠点複合施設の総事業費に10億円を予算化し、19年度の供用開始を目指す。市営住宅再編2期、3期には年間5億円程度、最長で27年度の供用開始から22年度に前倒した市立診療所移転には20億円を超える事業費を試算している。

 ⑥では、文化スポーツセンターのボイラ配管修繕や中学校のグラウンドの水道や教室の網戸を整備する。

 この他、住民負担の軽減や給与・職員数といった行政執行体制も見直した。

 46事業の実現に向けた歳出の抑制では、特別職・一般職の給与水準見直し、職員採用の繰り延べ、議員定数の削減を進める。歳入の増加対策では、個人版と企業版のふるさと納税の強化・活用、観光施設売却益の活用、基金の取り崩し、各種補助制度や起債の最大限活用を考えている。企業版ふるさと納税に関しては、新たにツムラ(本社・東京)が3億円寄付することを報告。寄付金は子ども・子育てに関する事業などに活用する。

 鈴木市長は、市として最大限の努力や各種歳入によって、事業費の大部分は財源確保のめどが立ったとの認識を示し「113億円の事業実施は不可能といわれてきたが、毎年結果を出していきたい」と意気込む。

 返済については16年度で再生振替特例債の元金償還額が85億円で、17―26年度の残額は236億円となっている。事業計画は見直すが、償還は26年度で終了のままとする。

 計画は詳細を最終調整中で、3月1日開会予定の臨時議会で議決をもらい、総務大臣に提出。同意が得られるのは同月上旬を予定。鈴木市長は「大臣同意をもぎ取りたい」と話している。

 計画に盛り込んだ建設関連事業は次の通り。

 ◇若者の定住と子育て支援▽認定こども園整備▽若年層・女性向け民間低家賃住宅建設促進▽住宅取得・リフォーム助成▽空き家調査・老朽化住宅除却助成

 ◇新たな人の流れ・交流人口の創出▽石炭博物館大規模改修▽学生と連携した地域の魅力おこし▽新規創業者・資格取得者助成▽担い手育成の研修支援

 ◇地域資源を活用した働く場づくり▽CBMの開発支援・開発研究▽夕張メロン安定生産に向けた基盤整備▽市有林を活用した薬木産地化▽林道点検・改修

 ◇夕張の未来を創るプロジェクト▽小学校のICT活用教育の充実▽夕張高校魅力化

 ◇持続可能なまちづくり▽拠点複合施設整備▽市営住宅再編2期・3期▽市立診療所移転改築▽デマンド交通本格実施▽デマンド交通利用者拡充▽第2次耐震改修促進計画策定▽道路修繕計画策定▽温泉送湯管の定期的メンテナンス▽共同浴場ボイラ改修▽一般廃棄物最終処分場整備▽火葬場内火葬炉の定期的修繕

 ◇その他▽中学校のグラウンド水道・教室網戸整備▽PCB汚染廃棄物処理▽文化スポーツセンターボイラ配管修繕▽不要公共施設除却


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